夜空の下でキスをしたいと思っているのは、私だけですか?

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 【礼奈side】


 創ちゃんと林で迷い、方向感覚をなくしてしまった。どうやら遭難してしまったようだ。


 偶然見つけた山小屋。

 何故か屋根が半分なくて、夜空が見えてロマンチック。


 ――二人きりの夜。


 道に迷ってしまったけれど、不安は全くない。だって創ちゃんと一緒だから。


 ふと海でのキャンプを思い出す。


 十四歳の夏、私はありったけの想いを創ちゃんに伝えた。創ちゃんはその想いを優しく受け止めてくれた。


「創ちゃん……どうしよう」


「どうした? どこか痛むのか?」


「どんどん創ちゃんのことが好きになる」


 創ちゃんはクスリと笑い、私の額にチュッとキスをした。


 あの夏の夜みたいに、チュッ、チュッて何度も額にキスを落とす。キスの嵐だ。


 軽く触れるだけのキス、でも私は呼吸が止まりそうならいドキドキした。


 私を胸に抱き優しく髪を撫でながら、創ちゃんが言ったんだ。


「俺も礼奈のことをどんどん好きになるよ」


 創ちゃんの言葉は魔法の言葉。

 遭難しているのに、幸せな気持ちになれる。


 小さな私は創ちゃんの腕の中にすっぽりと包まれた。まるで親鳥が雛鳥を守るように、創ちゃんは優しく抱き締めてくれた。


 私は創ちゃんの広い背中に、ゆっくりと手を回した。体を密着させると創ちゃんの鼓動が聞こえた。

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