夜空の下でキスをしたいと思っているのは、私だけですか?
130
【礼奈side】
創ちゃんと林で迷い、方向感覚をなくしてしまった。どうやら遭難してしまったようだ。
偶然見つけた山小屋。
何故か屋根が半分なくて、夜空が見えてロマンチック。
――二人きりの夜。
道に迷ってしまったけれど、不安は全くない。だって創ちゃんと一緒だから。
ふと海でのキャンプを思い出す。
十四歳の夏、私はありったけの想いを創ちゃんに伝えた。創ちゃんはその想いを優しく受け止めてくれた。
「創ちゃん……どうしよう」
「どうした? どこか痛むのか?」
「どんどん創ちゃんのことが好きになる」
創ちゃんはクスリと笑い、私の額にチュッとキスをした。
あの夏の夜みたいに、チュッ、チュッて何度も額にキスを落とす。キスの嵐だ。
軽く触れるだけのキス、でも私は呼吸が止まりそうならいドキドキした。
私を胸に抱き優しく髪を撫でながら、創ちゃんが言ったんだ。
「俺も礼奈のことをどんどん好きになるよ」
創ちゃんの言葉は魔法の言葉。
遭難しているのに、幸せな気持ちになれる。
小さな私は創ちゃんの腕の中にすっぽりと包まれた。まるで親鳥が雛鳥を守るように、創ちゃんは優しく抱き締めてくれた。
私は創ちゃんの広い背中に、ゆっくりと手を回した。体を密着させると創ちゃんの鼓動が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます