可愛い姫に誘惑されて困っています。 ……と、見せかけて本当はサイコーに幸せ。

４１

　――キスよりトキメクこと。

　礼奈をギュッて抱き締めること。

　礼奈と体を密着させているだけで、俺は幸せな気持ちになる。

　男だから女子よりは、色々大変だけど。

　すぐに暴走したがる欲望が、脳内にはたくさん潜んでいるけれど。まだそれらに負けないだけの強い理性は健在だ。

　喩えるならば、俺の理性は勇者だ。

　悪魔的な欲望なんか、バッタバッタと倒し宇宙の果てまで飛ばしてやる。

　二人で夜空を見上げながら、小さい頃の話とか、中学校の話とか。俺の知らない礼奈のことをいっぱい聞いたし、俺もいっぱい話した。

　くだらない冗談の合間に、見つめ合っただけでドキドキした。

　可愛いな。

「あの星が掴めたら、それで指輪を作りたいな。どんなに高級な宝石よりも、美しいはずだ」

「星で……指輪を？」

「きらきらして綺麗だよ。それに何でも願い事を叶えてくれそうだし」

「うふっ、そうだね」

「星で作るティアラもいいな」

「ティアラ？」

「王女様みたいなティアラ。礼奈に似合いそうだ」

「やだ、創ちゃんって子供みたいだね」

　もしも星で作ったティアラを礼奈がつけたら、どんなに綺麗だろう。

　礼奈の髪を撫でながら、俺はずっとそんな話しをして気持ちを鎮めた。

　二人で話をしていると、眠気なんて全然起こらなくて。

　このままずっと夜ならいいのに。

　朝なんて来なければいいのに。

　そうしたら……。

　ずっと礼奈とこうしていられるのに。

　天使のような可愛い笑顔。

　満天の星みたいに、俺だけに注がれる甘い光。

　礼奈、大好きだよ……。