第6話 女の同居人!?



 俺の同居人が今日また新しく変わった。

 男にしては小柄でとても華奢な体の少年だった。

 火事に巻き込まれたのか、肌はドロドロに焼けただれてしまっていて、見ていてとても痛々しい……


 中へ入ってきてからは天井を見上げて、泣いてるのか笑っているのかめちゃくちゃ気味が悪い……

 

 でも、新しくきた同居人の気持ちも分からないことはない……

 俺だってここに連れて来られたはじめての夜はワンワンと泣いていた……


 だから、こいつのことはそっとしておいてやろう……

 それに、どうせこの調子だとこいつは死んでしまうのだろうから……


 俺は同居人が一晩中泣き喚くせいで一睡もできなかった……

 けれど俺はその少年に怒鳴ることなく、ひっそりと目だけは閉じて横になっていた。


 朝になって食事が来た時も、その少年は一切口にしようとしなかった。


 この少年はもはや生きることを諦めてしまった、そんなふうにも見えた。


 そして、太陽が頂点に達した頃、衛兵がここへと来た。


 今回は俺の出番ではない……

 俺の同居人の出番だ…… 


 俺の同居人は引き摺られる形で外へと連れて行かれてしまった……


「はぁ…………」


 俺は同居人が出て行った牢屋の中で1人溜息をつくのであった。


 あの少年の相手は確か、ロイドだったよな……

 あの少年は可哀想だが、仕方がない……


 俺は昨晩一睡もできなかったせいかそのまま深い眠りへと落ちて行った。


 だが、数刻してから眠りを邪魔するように突如、衛兵が俺の牢屋の扉を開ける。



 そして、放り出される1人の少年。

 全身にひどい火傷を負った少年。

 耳は切り落とされてしまっていて、腹からは血が出ていてこのままだと死んでしまいそうな少年。

 この少年は先程衛兵に連れて行かれた少年だった。

 

「あれ!? こいつまだ生きてるのか?」


 こいつが生きているとするなら……

 ロイドがこいつに負けた……?


 俺はこの少年がまだ生きていることに驚き、眠たい意識を一瞬にして覚醒させる。


 俺はこの少年に興味を惹かれたので近付いていくのだが……



「あれ……こいつ……女……」


 いやいや、なわけねぇだろ……

 まず女がこんなところに連れて来られるはずなんてないし……

 それに女がロイドに勝てるはずなんてない……


「でも……柔らかい……」


 どこを触ったとは言わないのだが、この少年のある部分に触れてみたところ、とても触り心地が良く、柔らかかった。


 俺はあまりの衝撃的な事実に、久しぶりに呆気にとられることになった。







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