キジバトの鳴く声

島 まこ

第1話 まこちゃん

 きみちゃんとまこちゃんは幼馴染だ。いつもなにをするにしても一緒であり、朝学校に行く時も、休み時間の間も、それにトイレに行く時すら行動を共にしている。元々2人の親同士の仲が良く、その付き合いで物心つく前からの、いわば家族みたいな間柄なのであった。

 きみちゃんは、まこちゃんの興味あるもの、好き嫌いをよく知っている。彼女は明るくて生き生きとした内容の本が好きだ。それに、可愛らしいひらひらのレースのついた、髪色はブロンドで鳶色の目をした人形を大事にしている。一方で、同じクラスのうるさい男子は嫌いらしく彼らが面白半分にからかってくると、私はさっと彼らの方へきつい視線を送り、彼女から彼らを遠ざけるように気を配っている。つまり、私は彼女のことが好きなのだ。彼女と一緒にいると自然と安心するし、全く寂しく感じない。きっと彼女の方も、私のことを好きでいてくれていると思っている。それは多分、私たちは昔からずっと仲良しであったし、今もそうなのだから半ば当然のことで、疑いようのない事実だろうとも思う。そしてこれからも、今みたいに始終一緒にいられないかもしれないが、きっと何らかの形でつながっていくのだろう、となんとなくではあるが感じている。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る