【神は君の知らない気持ち愛した】

てんてん

【神は君の知らない気持ちを愛した】





・君はどうしますか?


もし好きな人が自分で自分を傷付けるの

が得意な人だったら。


もし好きな人がお金のために自分の体を売る人だったら。


もし好きな人が誰にも頼れず悲しんでいたら。


もし好きな人が人の幸せのために自分を犠牲にしていたら。




君はどうしますか?










・僕はフリーターの21歳。


高校を卒業した後就職したがすぐに辞めて、今はダラダラとアルバイトをするだけの毎日。


特に夢があるという訳でもなく、世間で言われてるところの、[ ニート ]みたいなもんだ。


ただ唯一の楽しみはTwitter投稿で


フォロワーは1万人弱で、投稿内容はニートの日常生活である。たまに自撮りなんかを公開したりしている。


ルックスに自信はないが自撮りを投稿すればフォロワーさんにはチヤホヤされ、そこそこいいねやコメントもくる。


今日は美容院に行って髪の毛を整えてもらってきた。バイトは週に2日しかないが飲食店の為たまには切る必要がある。


結構腕のある美容師さんなのか、なかなかいい感じにカットしてくれてテンションが上がっている。


上機嫌な僕はこの喜びを誰かに伝えたくて家に帰ってすぐ、Twitterに投稿するために自撮りをする。


投稿をすると、すぐにいいねがきた。


いつもより反応が良くていいねが沢山くる。


このTwitterの投稿のいいねを押してくれた人の投稿を見たりするのが好きだったりする。


いつものように見ていると1人すごく目に止まるアカウントがあった。


名前はのんちゃんと書いてある。だがツイートはほとんどされておらず、その子の写真は唯一アイコンだけである。


僕はそのアイコンがとても目に止まったのだ、理由はもちろん簡単で、かわいいからだ。


この子の写真を他に見たいが投稿はされておらず残念だなと思っていら、インスタのURLが貼られているじゃないか、


インスタに飛んだら案の定たくさんの写真が載っている。


投稿全部にいいねを押してフォローも押した、するとインスタにメッセージが届く。のんちゃんからだ。


まさかメッセージが来るとは思わず少し汗をかく。


僕はメッセージは送らないし、送られてきても返す事はない。


ただ今回は話が別だ。慌ててメッセージを見に行く。


『え?私何かいいね押しましたっけ??』


なんだかいいね押しすぎた事に怒っているのか?


『かわいいと思っていいね押しました。』


すると


『今Twitter見てて、インスタから通知きて見たらフォローきてびっくりしました!』


違った、怒ってるのではなく喜んでいる!!自分も見ていた事について驚いていたんだ。

何かいいね押しましたっけ?というのはこの子は僕の投稿にいいねを押したつもりはなかったんだ。


『Twitterでいいね押したからインスタ見に来てくれたの?』


そぉいわれたが、なんだかそれはストーカーみたいで気持ち悪いので、


『いや、たまたまインスタ見てただけだよ??』


とトボケテおいた笑

それに女の子はそんな出会いに萌える。

そしたら


『なら、運命ですね??』


そう言われ、純粋でかわいいなと思った笑


住んでる場所は全く違って。

僕は東京でのんちゃんは愛知県だという。

いや、何会おうとしてるんだよw


そぉ自分にツッコミながら

話していると近々東京に引っ越すと言われた。


まさか、まさか、これは本当に運命なのではないのか??

会ったこともないのに好きという感情が出てしまった。


のんちゃんも僕の事がとてもタイプらしく、とても褒めてくれて嬉しい。


LINEまで交換してしまった。

SNSでこぉいったことは初めてで、しかもこんな可愛い子からでとても高揚が止まらない。


それから何日もLINEをしていくとのんちゃんの事がよく分かってきた。


年齢は18歳で、東京にはアイドルになりたくて上京しに来たいらしい。


僕は絶対人気になると思った。


だが親とはあまり仲良くなく、上京に至っては自分で全て行うらしい。

家を出たいという気持ちもあるのだと思った。


今はメイドさんとして働いているらしいが、なかなかお金が貯まらないらしい。

僕がちゃんと働いていれば手助けしたのにと後悔した。






・ある日いつものように夕方に起きる。


のんちゃんからLINEが届き見てみると、それは


『パパ活に騙されて家でリスカして深く切れてしまって血が止まらない』


一瞬固まった。


訳が分からない。


パパ?


リスカ??


僕には全く理解の知り得ないワードで異次元の話のように聞こえた。


どうしていいか分からず。というかどうする事もできないのは当たり前で、自分の無力さ感じ無慈悲になる。


どうやらその後働いているメイドさんの店長が来てくれてどうにか病院に行き、10針も縫ったが事なきを得たらしい。


そうか。親ではないのか、本当に大変な環境にいるんだな。


今回はどうやら、パパ活とやらで体を売ったが最初の報酬とは違う額を渡さられ逃げられてしまったらしい。


そしてその悲しみ怒りを自分に当て付けて楽になろうとした


好きな人がいればその人に相談とかして慰めてもらう事もできるが。そういう関係になった事はないらしく、1人で抱え込んでしまう子なんだな。


なので


『僕はのんちゃんが好きだから、僕の事好きになってもらえるようにするから、そぉいうときは頼って欲しいと』


そぉいった。


『そんな事言ってくれるの嬉しい。なら電話いっぱいしてほしいな』


そう言われた。


心を開いてくれたみたいでとても嬉しい。


そして電話をする。


『手大丈夫??』


『まだ少し痛む。手がずっと震えてる。』


『そんなに深く切ってしまったんだね。』


『そうなの、血とか大丈夫?』


電話中に今日リスカしてしまったところを見してもらった。


凄かった。かなり深く傷が入っててパックリ割れている。


もっと驚いたのは他にも沢山リスカした跡があるということ。


なんだかとても身に覚えのない感情が出てきて叫びたくなった。


しばらく話すと眠くなったというので寝る事にした。









・電話の後暗い部屋でのんちゃんは今までどれだけ苦しい思いをしてきたんだ。


どれだけ1人で寂しい思いをして自分にぶつけてきたんだ。


今回の原因となったのパパ活で騙されたという事だが、

すぐに家を出たい、18歳のこの子にすぐにお金を稼ぐ手段となると自分の体を売るしかないのか。


僕にはどうしようもできない。僕には変わりに払ってあげれるようなお金はない。


好きな人がこんな状況に置かれているのがとても辛かった。


どうしたらいいんだ。


明日また騙されたら。


電話しただけで落ち着くのか??そんな訳ない。


近くに寄って抱きしめてあげる事もできない。


もう少しの我慢だ。君がお金を貯めて東京に来ると言ってる日まで。


僕は東京に来たらすぐに側に居れるように


『東京来たら同棲しよ』


そう送った。

すると


『一人暮らしがいいの、1人の時間ないとしんどいの。』


そうかそぉいう子だよな。








・1ヶ月後



のんちゃんが今日から東京に住む事になった、


その間も毎日のように電話していた、いろいろな相談を受けたり、辛い時には声を聞きたいと電話してくれた。

リスカをしていたからどうかは分からないが、少しは頼りになれていたのかと思った。



僕は片付けの手伝いをするために初めて会う事になる。


『あっ、のんちゃん』


『神愛君だぁ〜やっぱりイケメン』


『やっと会えたね!』


『やっとだよ。今までごめんね心配かけちゃって。』


『そんなんどうって事ないよ』


初めて会うのでなかなか緊張している


部屋を一通り片付けてから買い物に出る。


鍋を作ることになったので、そういった食材を買う。


家に帰り一緒に鍋を突っつく。


終電がなくなってしまったので泊まる事になった。


この日出会ってみて、気づいた事がある


大好きだ


一緒に居てとても幸せで笑顔が絶えなくて、幸せだ。


それはのんちゃんも同じ気持ちだろう。


そして僕達は付き合う事になる。


僕はこの1ヶ月で再就職のため動いた、来週からは働きに出る。


のんちゃんも来週からアイドルのオーディションに行くらしい。


2人とも忙しくなるな、、、







・『ピンポーン』


のんちゃんが東京に来てから2ヶ月くらい、


この頃には僕は仕事も慣れてきて、のんちゃんもアイドルとしてデビュー間近まで迫っている


僕はのんちゃんの家に時間があれば常に来るようになっていて、今から行くね!なんていう連絡もせずに勝手に行ったりする


今日も仕事終わりに勝手にきた


いつもこの時間はレッスンが終わり家にいるはずの時間だ!!


インターホンを押したが反応がない。


なのでLINEをしてみるが一向に既読はつかないし、電話をかけても出ないため、扉を開ける事にした。


流石にいきなり扉を開けたりはした事がなかったが、心配になって開けてみる。


鍵は空いていた。


のんちゃんは宙に釣られ死んでいた。


すぐに救急車も来たが手遅れだった。










・僕は知っていた。


のんちゃんがこっちに移り住んでからも時々リスカをしていたことと沢山の薬を服用していた事を。


僕から時々大丈夫?と気に留めていたが、なかなかハラワタ全てを話してくれる事はなく、いつも曖昧になっていた。


それでも無理やり話させる事は逆効果だと思い流してしまった。


なにより、一緒にいる時間はとても笑顔でずっと笑っていて、幸せに見えたからだ。


僕はあの日から近くにいれば僕がどうにかしてあげれると思い上がっていた。


僕にら何ができていたのか??


何ができなかったのか。


仕事が忙しくてのんちゃんとの時間が少なかったのか??


もっと無理やりでも話しを聞いてあげる必要があったのか??


どこで見落としていたんだ。


愛していた。のんちゃんのことを。


のんちゃんの全てを肯定し愛を注いだ。


君の事はなんでも知っている気でいた。


幸せな日々が送れていると思い上がっていた。


僕はのんちゃんの事を何も知らなかったようだ。


のんちゃんは僕の事を愛していたのか??


のんちゃんが居なくなれば僕は悲しむと思わなかったのか??


それともそれでさえも居なくなりたかったのか??


僕がのんちゃんと接したせいでこうなったのか??


関わらなければよかったのか??


あの笑顔は嘘だったのか??


考えたって答えは出ない。


解答まだでない。











《人の気持ちなんて分からない。


多分全員同じだろう。


だから君は大切な人に言葉にして伝えてほしい。


そうしないと何も知らないままだよ。》👼💛





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【神は君の知らない気持ち愛した】 てんてん @kamia_tenten

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