第62話

出発した馬車の中、これから向かう国についてロクに知らないことに気づき母上に話しかけることにした。


「して母上の国はなんていう名前なの?」


「あらヤダ言うの忘れていたかしら?名前はホクート王国って言う名前よ。」


思い切っしyou are shockが思い浮かぶぞ。愛を取り戻せが聞こえてくるぞ!


「ホクートってどう言う意味?」


無茶苦茶気になったので気がついたら言葉に出していた。


「ホクートは国としては歴史が浅い国でそれ以前の国の方が歴史が長いんだけど今から250年前の国の開祖となった人の名前よ。」


「へえ。」


なーんだ人の名前か。ホクトっていう人は日本人にも居るし多分それだろ。


「私も余り存じ上げておりませんが大層な武術家で会ったと聞いています。」


「流石ミーシェルちゃん。よく知っているわね。」


うおーいyou are shockが蘇ったぞ。フェニックスの如く蘇ってきたぞ。


「武術家?武闘家じゃなくて?」


「ラピスちゃん鋭いわね。なんでも国王が言うには武術は武闘と違い戦いを目的としたものではなくあくまでも自衛の手段だからそう名乗ったらしいわ。あ、あと国の言葉はこっちと同じで大丈夫よ。」


「なんで?」


「翻訳魔術を殆どの人が使えるのよ。昔のうちの国の人達は海洋国家と貿易があってそこの国の言葉を調べるために翻訳魔術を開発したから殆どの国の言語を理解できるわ。ただこっちの召喚者語は使えないから気をつけてね。」


「「はーい!」」


「2人ともはいは短く言いなさい!」


「「はい。」」


ミーシェルが俺とラピスを正させた。


「ふふふミーシェルちゃんはいい母親になりそうね。本当に私の息子の妻に成ってくれてよかったわ。」


「それは恐縮ですわサンナタ妃。」


「気にしなくていいのよ。私のことはお義母さんでいいから。」


「そ、それは恐れ多いと言いますか。」


「あら、元次期国王の王妃候補が何言ってるのよ。家族みたいなもんだと思いなさいな。」


(なんかミーシェルがアタフタしてるの見るの面白いよね。)


俺は結界を一旦解いて念話で話をする。ミーシェルは他国の王女でもあった母上と自分の今の立場を考えると話しづらいのだろうが見てる側としては断然面白かった。


(うん。)


「ねえ、アレンもそう思うでしょう?」


「まあ、慣れない内はしょうがないけどいづれは言って欲しいかな。」


「うう、ではお義母様と。」


「じゃあその様づけが無くなる日を楽しみに待っているからね。できればこの馬車の旅の三日間で取れることを望んでいるけど。」


「善処します。」


このようにしてミーシェルの中々の見られない光景は終わってしまった。

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