第52話

「本日は自由時間です。」


朝食時、今日の予定をミーシェルに聞かされた。


「「わーい!!」」


ミーシェルはどこか微笑ましい目で俺とラピスを見ていた。

自由時間と聞いて喜ばない少年少女は居ないのだ。俺は中身おっさんだがそこは愛嬌で。


「ただし、アレン。今日は私とデートをしてもらいますよ。」


昨日、ラピスとデートをしてしまったことを考慮して自分もしてほしいとのことだろう。どこか迫力と強制力のある物言いだ。


「あ、その前にラピスに魔術を教えてからでいい?」


少なくともラピスには【ミニミニミニミニミニヒール】は教えるつもりだ。【にゃんにゃんにゃんマタタビ】と【The Bell of the Night】は教えてもいいか迷うところだが【バーサクにゃんにゃん】は犯罪臭が思想なので論外だ。まあ、見てみたい自分がいることは否定できないのだが。想像は犯罪じゃないからね。想像するのはただなのさ。ロリネコミミ。ぐへへへ、じゅるり。


「アレン様。」


おっとアルティマに注意されてしまった。多分4次元領域から覗き込んだのだろう。自重せねば。


「構いませんがラピスは確か魔術が使えない筈では?」


ミーシェルもラピスの事情は知っていたのか本当に教えられるのかと聞いてきた。


「いんや使えるよ。王宮の書庫に書いてあった魔術を思い出してたらいくつか使えそうなのがあったし。」


「そうですか。」


「すぐ教えられるし。」


「教えて教えて!」


目をキラキラにさせてラピスは早く早くとせがんでくる。年齢的には小学4年生くらいのラピスだが今までできなかったことを覚えていくのは楽しいと思っているらしい。俺はもう新しいことを覚えることに関しては趣味以外はあまりやありたくない行為となっているが。

社会人時代にも思ったことだが新しいことを教えてもらえる分にはいいのだが自分から進んで聴きに行ったとしても望む答えが聞けるわけではないのだ。それが繰り返さ絵れていくうちにやる気が削がれていくため社員のやる気もなくなってくる。本来このような教える体系を変えるべきなのだが俺のところは中小企業だったためギリギリ総務があるくらいで教える部署なんてものはない。現場で覚えろとよく言われるが現代人は教えられることに慣れ過ぎた。

ラピスが勉強に飽きてきたときに職人気質なところに放り込んで勉強させるようミーシェルにも言っておこう。


ちなみに現在ラピスの念話を遮断する魔術を魔王によって検索しておいたためこちらの声は聞こえていない。


「じゃあ教えていくぞ。」

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