第46話
2人のデートを終えた帰り道。何やら騒ぎがあった。
「みかじめ料を寄こせっつってんだよクソガキ!!」
見るとピンク色の頭巾を被り編籠の中に花を入れた少女が殴られそうだ。
しっかし、反社会勢力がいるのか、そいつらもまとめ上げないとさらに面倒くさいことになりそうだな。
あーサボれ無くなる。
「ん?」
「助ける。」
しょうがない面倒事に首は突っ込まない主義だが愛しい妻の頼みだ。これは趣味としてやってやろう。
ピッと一枚のカードを取り出す。
「大アルカナNo.0逆位置。道化になろうかな。【我 求める 神秘を 我が名は 偽りを求む ならばその名 かたるにふさわしき 化身と化せ イリュージョン】」
この魔術は俺にしかできないオリジナル。スキル趣味を併用することで生まれる爆発的成長力を利用しその存在に成りきることができる魔術。今回成りきるのは大アルカナNo.0愚者の逆位置、無謀なる勇気を模して作り上げるのは道化。ピエロの時間だ。
「さあ怠り(趣味)の時間だ。」
その言葉はスキルの特性を爆発的に上げる自己暗示。そして得た姿は帽子をかぶった典型的なピエロそのもの正にジョーカー(婆)だ。
ピエロに成り切った俺はまず殴られそうな彼女に近づく。
そして
「うわっなんだてめえ邪魔すんなら容赦しねえぞ!」
「!」
俺は手でビックリの表現をする。あくまでも自分はピエロ、言葉を発するのはタブーというものである。
「なんだてめえおちょくってんのかコラ!」
「┐(´~`;)┌」
やれやれと手を振り相手を煽ってみる。
「もういい、やっちまえ野郎ども。」
反社会勢力の皆さまはこちらに向かって何やら魔術を出そうとしていた。
「「「「【炎よ 源の対価に 敵を打ち倒せ ファイアーボール】」」」」
「\(◎o◎)/」
あらまあ四つも来ましたよ攻撃魔術が街中でやるとか何考えてるんですかね。魔術ができる頭があるのに考え方はお馬鹿さんなんでしょうか。
俺は炎が来る前に帽子をくるりと回して床に置き帽子の中からフラフープと同じくらいの大きな鉄製の輪っかを取り出す。そしてファイアーボールを輪っかの穴にすべて通す。するとあら不思議ファイアボールが全部消えたではありませんか。
「どんな手品だこの野郎、次は物理だやっちまえ。」
敵さんはバールを持ち出しニタニタと笑っていた。普通に悪役面だけどなんか気持ち悪い。
「(@_@;)」
俺はバールを両手で指さして
「(´艸`*)」
クスクスと笑うしぐさでさらに煽ってみた。
「「「「コイツぜってえ殺す」」」」
バールを避けるわ避けるわ。たまーにこの人の関節大丈夫かなってくらいに折り曲がらせたりあり得ないくらい低姿勢のイナバウアーをしてみたりまじめに闘っているとは思えない。むしろ反社会の皆さまが踊らされているという表現の方がしっくりくる。そんな戦闘だった。
「@@」
敵を指さして
「パチン、パチン、パチン、パチン。」
指パッチンと共に敵4名のお尻目がけてファイアーボールが出現したではないか。
「「「「あっちいいいい!!!!!」」」」
「(´艸`*)」
ズボンが焼け痣のくっきりついた尻が出た若者が4名。滑稽とはまさにこのこと。周りに居た人たちも皆一様にクスクスと笑いをこぼしていた。
「てめえらピエロ一匹ごときにナンつう無様な姿さらしてんだ。手本を見せてやる。【炎よ 源の対価に 敵を打ち倒せ ファイアーボール】」
今度は若手筆頭の若頭っぽい人がファイアーボールを出してきた。その大きさは若者たちと比べて三割増しで大きい。そして接近することも忘れていない。ファイアーボールが避けられてもいいように折りたたみ式ナイフを取り出してこちらが動けば投げるか接近戦に持ち込む姿勢だ。
だが俺もやられるわけには行かないので両方捌くことににした。床においてあった帽子を拾い上げその中からステッキを取り出す。
「パチン……ッパチン、パチン!!」
最初のファイアボールを先ほどと同じように指パッチンをしてから薔薇のブーケに変化させスタっと若頭の前に接近、そしてこちらも同じようにナイフを一輪の薔薇に変えた。
最後にダメ押しと言わんばかりに頭にはファイアボールを返してあげた。
「あちゃちゃちゃちゃ!!!」
若頭の毛根は燃え尽きツルッ禿げが出来上がった。
俺は手を振ってその場を立ち去った。殴られそうになった女の子は自分の籠の花が無くっていることに気が付いた。代わりにたくさんのお金が入っていた。
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