第45話
「ただいまお待たせ致しましたスペシャルプリンアラモードパフェナイアガラ仕立てのアボリジニー風蜜蟻の蟻蜜を添えてを一つとカップルスプーンお二つでございます。」
蟻自体は流石に入れていないがプリンだけは滝のようにうねって作られていた。崩れないのが不思議でならないほどのいびつな形だがナイアガラの滝っぽいのは確かである。しかし色々ごちゃ混ぜなところは学生らしいというか本当に召喚者が作っただけには考えづらいくらいミックスされていた。
「マジでそんなものがあったのか。」
もちろんカップルスプーンのことである、明らかにこの店には男性客が俺以外に居ない、どうしてそんなものがあるのかが気になってしょうがないのだ。
そんな俺のことを察知してか店員は説明してきた。
「確かにお客様がこの店オープン以来二人目の男性のお客様でございますがこの店にぜひともカップルを呼びたかったオーナーたっての希望がありカップルスプーンなるものを販売しております。こちらこの領都有数の彫金師の工房で加工をしていただいたアマゾナイトとインカローズを組み合わせて作った特別なスプーンでございます。」
店員はサラッと言ったが完全に一つの石としか見えないような一体感でピンク石の中に深成岩の模様が埋め込まれているようであった。ある意味でここまで意思を削りはめ込む技術は相当なものであった。
「模様の部分がアマゾナイトで石言葉は一体感を生み出す。してベースのインカローズですが愛する気持ちの再確認でございます。これは店長が結婚する際にも使われたパワーストーンで結婚指輪に使われております。」
そういえば庶民の婚約指輪って比較的手に入りやすいパワーストーンが一般的なんだっけ。安上がりに見えるかもしれないけどここまで石を加工することのできる職人がいるならオンリーワンな指輪ってことで人気が出るのも頷けるかな。
「アレン。」
おっとお嬢様がこちらにせがんできたようだ。こちらもきちんとやらねばね。
「はい、あ~ん。」
「んー美味しーい!!!」
今まで一番大きな声を出して表情を魅せるラピスは今日が初めてであったそんなにも美味しいのだろうか。
「はいアレンもあ~ん。」
渡されたので食べる。ふむ、さきほどの大和風とは違ってこっちは完全西洋式っぽいな。和風テイストの方が食べやすい気もするのだがこれがなかなかにうまいプリンの中にほんのり酸味がするところもいい。よく見るとマーマレードで会ったがこれは男性が食べることも含めて作られたのであろう。甘過ぎずかといって女性に満足させるギリギリのラインで作り上げられた非常に美味いプリンだった。
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