第29話

「ええ、それは存じております。まだ6歳のアーレギオン王子に領地を任せるのはいくら優秀といえども反感を買う恐れがありますし、恩赦で罪を免れている私達も同じこと。どこか領地を持たない貴族に任せる、それも伯爵以上の家系で。」


何というかこの嬢ちゃん、肝が座ってらっしゃるな。しかもここまで予測が出来ることから考えると日本の中卒以上はできるんじゃないか。しかも将来設計も見据えてるな。


「ああ、その通りだ。それも現状、王宮派の人間でな。」


「そうでしたか。やはりデーヴァ伯爵でしょうか。」


何となくパーティで見た食い仲間の子が思い浮かんだぞ。何でだろう。


「本当に兄貴達の娘とは思えないくらいに出来てるな。その通りだ。」


「やはりそうですか。今の現状、第1王子の教育係を進めた貴族を芋ずる形式で探った結果、とある侯爵の名を耳にしましたから。今回のことは彼が行なったのでしょう。あの女の敵の好色侯爵様が。」


え、ナニお若い人なの。女の敵って言ってる辺りショジョ税でも敷いてるの?(ワザとそう書いてます。)


「ああ、こちらとしても聞き及んでいるが不倫をしまくっている問題貴族として有名で敵もそこそこ多いあのバブル侯爵とはな。野心家とは聞いていたがここまでとは。」


不倫!?普通ダメだろうけど価値観違うのかな。てかバブルってバブル時代かなんかのことなの召喚者適当なこと伝えてるな。でもそのまま名前の通りに生きてる気がする。


「不倫の証拠をつかませてくれないあたり相当頭もキレるのでしょう。我が領地も徐々に侵食されていたので浄化するのに時間は頂きますが必ずアレを排除しなくては。」


「それは最もだが奴は手を出すことはしないだろう。奴は力で解決するタイプではない。一応学園では同期だったからよく知っている。アレは成績は優秀でないように見せた能ある鷹だ。手強いぞ。」


え、国王陛下って見た目50いってるよね。バブル侯爵アブナイお薬に手を出してるの?


「ええ、望むところです。」


そろそろ妄想するの飽きて来たしリンゴ食ーべよ。


「リンゴ食べたくなったのね。はいあ〜ん。」


さすが母上こんなダメ息子にまで慈悲をくれるとは…本当にヒモ製造機な気がするがこのそんなことは構うものかこのジョナゴールドに近い色合いのリンゴは酸味の方がやや高めだが病み上がりの俺には丁度いい味なのだ。故に食欲を優先する!


パクリ


うん美味しい。そんなこと思っているとゲンコツっぽいモノが見えるぞ。あ、伯父さんのゲンコツだ。このままだと俺に当たるな。けど避けるのめんどくさいし、でも痛いのも嫌だな。

ん?

コレってああ、思い出した。俺、この使い方、知ってたわ。じゃあ遊んでみるか。


フニャン


と間抜けた音がした。


「これは魔力、魔術なのかはわからないが魔力をクッション材にしたのか?」


「もう、アナタったら未来の息子にこれ以上ケガさせたらどうするのよ。」


「ちょっとアーグルさんオハナシしましょうか。」


「サンタナ妃、ここは私めに成敗するお役目を。そろそろこのバカを処刑しないと領地の改善どころか改悪に向かいそうですので。」


なんだろうこういう時って大体スタンドが見えるのが相場のはずなんだけどなあ。全然見えないな。


スキル『趣味』を発動

魔力を脳の代償感覚を用いて可視化します。


え、初めてユニークスキルの趣味が発動したけど怠力並みの優良スキルじゃん。説明欄みてもこんなことできるなんて思わなかったぜ。


そんなこと思っているうちに伯父さんは連行されてった。


暇だし他の人の魔力を見てみよう。


ふむふむ、親父からはフクロウと人間を混ぜたような謎生物が見えるけど母さんからは鷲が見える。力関係が分かりづらいな。


んで伯父さんは森の賢者様。(脳筋)伯母さんは白鳥の被り物被った科学の忍者隊みたいな女性型が見える。


娘さんの方は………あ、はいごめんなさい。なんかそう言いたくなる人魚さん(西洋)が居た。


シェルのおじさんは、you are shock って言えばいいかな。おおぐま座にある北斗七星こそないんだけどそんな感じの帝釈天様の像をアレンジしたインドラ像が見える。あ、こっちに手を振って来た。

どうすれば返せるかな。さっきと同じ要領でやってみるか。


スキル『趣味』発動

魔力操作を魔力掌握にまで底上げします。


うおおおなんかでる。フライパン山をぶっ飛ばしそうな何かが出そう。


ビキッビキッ


あ、でた。これが俺の悪霊。My slow life supporter 、又の名を俺のグータラ製造機だぜ。三部の奴並みに高性能だといいな。


姿はタコ型のマッハで動く生物と海軍中将の海楼石の巨大十手持った人を足した感じだった。手を振ってみよう。ほれ、よし返せた。


ん?アルティマ様が呆れた目でこっちを見てる。アルティマさんはなんか本人そのまま見たいな感じ。


おおう、こっち見たらタコがマッサージしてくれてるぞ。あーそこそこ動かしなさすぎで固まってたのよ。さすが手入れ上手な悪霊だぜ。


あ、伯父さんが返ってきた。


「申し訳なかったです。アーレギオン王子!」


顔に青タンいっぱいあるよ。晴れ上がってる箇所多すぎて服装でしか伯父さんってことが認識出来てないくらいなんだけどナニしたのかな。マーメイドさん教えて。

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