第125話 長期戦に向けて

 僕とミーアがファイアーデビルの敵意を奪う。スキを見て勇者様の聖剣が閃く。事故を防ぐためにレミジオが勇者様の前に盾をかざしてカバーに入る。時に僕とミーアが大きくファイアーデビルの態勢を崩し勇者様が全力で切りつける。僕にファイアーデビルの攻撃がかすり吹き飛ばされることもあるけれど、アーセルの治癒魔法が僕の傷を癒す。ファイアーデビルが魔法を展開すると僕とミーアが魔法の芯を剣で切り飛ばし、残りを受け止める。さすがに中位王種の魔法が相手だと僕の耐性も完璧ではなくダメージを受ける。ミーアもうまいこと避けているけれど、どうしてもあおりを受け多少のダメージがある。それでも、その程度ならアーセルの治癒魔法が十分に癒してくれる。何度も何度も繰り返す。焦らず急がず戦いを安定させる。6年前にはリトルデビル相手でさえスタミナが不足して途中で補給という名の休養を取らせた勇者パーティーが息切れを起こさず戦いを続けている。しかも当時は敵意を全て僕とミーアが引き受けたのをレミジオもきちんと敵意を一部引き受ける役割を果たし、アスセナやライアンも攻撃でファイアーデビルの注意を分散させている。勇者様も既に通常の青の勇者のレベルではないだろう。それでも、やはり中位王種のタフさは尋常ではなく、そろそろ丸1日になろうというのに倒れる気配もない。僕とミーアは、まだまだ余裕があるけれど勇者パーティーの面々は交代で少し休ませた方が……。そう考えているところに、アーセルから声が掛かった。

「アスセナ、ライアン。一度下がって休養と補給を。レミジオとギーゼはもう少し頑張って。フェイとミーアは、まだ余裕がありそうね」

「おう、僕とミーアはまだまだ大丈夫。アーセルは魔力はどうだ」

「あたしも、まだ大丈夫。フェイがくれた魔力回復薬のおかげで消耗した感じしない」

「じゃぁアスセナとライアンが復帰したら勇者様とレミジオと一緒に休んで体力の回復。そっちのパーティーメンバーが全員復帰したところで僕とミーアも少し休ませてもらう」

「え、フェイが戦闘途中で休むの」

「これは1日2日では終わりそうにないからね。長期戦を想定して僕たちも休みを入れるよ。あ、そっちは食料や水は大丈夫かな」

「スタンピード対応だから2日3日は掛かるの前提で少し余裕をもって準備したから大丈夫よ」

「随分と変わったね。っと」

ファイアーデビルの打ち下ろしを躱し、両手剣を逆に脚を狙って打ち込む。

「そりゃ、フェイとミーアにあれだけの重荷を背負わせて、のほほんとはしてられなかったもの」

「そこは聖国の偉いさんのせいだから、そこまで気にする必要ないけどな」

「それでもよ。あたしたちは英雄として称えられて、本当なら称賛されるべきフェイとミーアは無実の罪を背負わされて」

竜の魔法を放ちファイアーデビルの態勢を崩す。

「それも聖国の偉いさんたちの仕掛けだな」

黙り込むアーセルに

「ま、無駄口はこのくらいにして、長期戦に向けて体力も温存しとけよ」

「ん、わかってる」





------------------------------------------------

新作、お試し公開

幼馴染の初恋は月の女神の祝福の下に

https://kakuyomu.jp/works/1177354054893546447

中高生の甘酸っぱい初恋を……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る