第123話 むやみやたらに飛び込んだわけじゃないの
「うわああああ、ミーア」
僕は、周りの事など考えず駆け寄り、抱き上げる。
「ミーア、ミーア、ミーアああ」
「フェイ落ち着いて。ミーアは大丈夫よ」
「え、あ、アーセル」
アーセルがミーアに治癒魔法をかけてくれている。どうやら王種に気づいた勇者パーティーが間に合ったようだ。僅かな時間でミーアの呼吸が落ち着き、うっすらと目があいた。僕は思わずミーアを抱きしめ
「ミーア、無茶をしないで。ミーアまでいなくなったら僕は生きていけない」
「あたしは大丈夫よ。ちょっとビックリしただけ」
「大丈夫って実際に今倒れて」
僕がそこまで言うとミーアは、僕の耳に口を寄せて、そっと話してくれた。
「……だから、あたしはむやみやたらに飛び込んだわけじゃないの」
よく考えてみたら地面がガラス化するほどの高熱、いくらアーセルの治癒魔法が優れていても死者をこの世に引き戻す力は無いのだからミーアの言っていることは間違いないのだろう。
「これからは先に言ってくれるかな。心臓がとまるかと思ったよ」
「う、うん。気を付けるね。でも、もう大丈夫でしょ。そろそろスタンピード殲滅に戻ろう。勇者パーティーが数に磨り潰される前に」
「わかった。急いでスタンピードの魔獣を終わらせて勇者パーティーの援護に向かおう」
今も、重戦士レミジオがアースドラゴンの尻尾を盾で受けて吹き飛ばされた。そこにグラントータスが突進しようとしている。僕がグラントータスをオリハルコンの両手剣で両断する。ミーアがアースドラゴンの首を切り飛ばす。二人そろって勇者様に襲い掛かろうとしているワイバーンに竜の魔法を放つ。ワイバーンがこま切れになって地に落ちる。
「すみません、こちらは回復しました。スタンピードの魔獣は引き受けます。ファイアーデビルのほうは任せます。火魔法に気を付けて。無理をしないようにスタンピードの魔獣を殲滅ししだい援護にむかいます」
「はい、ファイアーデビルは、こちらで抑えています」
僕の声に勇者様が応えた。あちらは重戦士が攻撃を引き受けられる上にアーセルの治癒魔法がある。見る感じパーティー内の連携も良いから正攻法で戦闘も安定するだろう。それに対してスタンピードの方はそろそろ終盤。スタンピードの魔獣の敵意は全てこちらに引きつける。
「スタンピードは残り僅か。一気に終わらせて勇者パーティーの援護に向かおう」
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