ケモナー美女と元野獣

/*登場人物:美女 元野獣(王子)/




美女「なにこれ……あたしのケモタンはどこ?」


元野獣「なにこれ、て……僕の本当の姿だけど……驚かせてごめん」


美女「はあ? あんた、あたしのこと騙してたの?」


元野獣「実は僕、呪われてあんな野獣の姿に変えられててさ。どうだいこの輝かしい美貌! 一応王子なんだよ? びっくりした?」


美女「どちゃくそがっかりした。つかスンゲー幻滅げんめつしてるんですけど!」


元野獣「……え?」


美女「あんたみたいなタイプ、はっきり言って苦手なんですけどぉ!」


元野獣「え? だって愛してる、結婚してくれるっていうから呪いが解けたんじゃん」


美女「私が愛してるっつったのはケモタンだよ!」


元野獣「いやいや、ケモタンは僕なの! これがホントの姿なの! やっとこさ戻れたとこなの!」


美女「あーたーしーは! ミーミー鳴いてしょぼくれた顔したケモタンが好きだったの! 返してよあたしのケモタンを!」


元野獣「はい?」


美女「モフモフに戻れっつってんの!」


元野獣「なに言ってんの?! 僕王子だよ? 女子のあこがれの的だよ? 金も名誉も美貌も持ってるんだよ?」


美女「うわ最低」


元野獣「どこが!」


美女「あたしのケモタンは金や名誉や見てくれを自慢したりしなかったわ。動物にも劣るよあんたは」


元野獣「あんなケダモノのどこがいいんだよ!」


美女「ケダモノだからいいんじゃん! 素朴そぼくで、まっすぐで、嘘偽うそいつわりがなくてさ! モフモフで余計なこと喋んなくて、洗ってない犬みたいな匂いがしてさ! そんなこともわかんないの? あんた見かけがキモいだけじゃなくてバカなの?」


元野獣「いや君のほうがバカなんじゃないかな」


美女「うるせーバカ、あんた、え~と、王子だっけ、とにかくケモタンに戻ってよ」


元野獣「無理だよ! 無理じゃなかったとしてもいやだよ!」


美女「じゃああんたと結婚なんかしない! 汚らわしい! あんたのせいで、もうあたしは……愛するケモタンに会えなくなって……あんたに引き裂かれちゃったんだから……」


元野獣「いや僕がケモタン本人だからね」


美女「認めない! 断じて認めない!」


元野獣「なに泣いてんの、泣きたいのはこっちだよ」


美女「あんたケモナーなめてない?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る