王様ゲーム
☆登場人物(男女その他、どのように組み合わせていただいてもOK)
高田→24才くらい。怖いもの知らずのあほの子
飯山課長→30代半ば。小市民+仕事には一生懸命
佐々木主任→30代半ばだが飯山より一つか二つ下。普段は上品で仕事ができ人望が厚いタイプ
☆注意事項
・全員、という指定箇所は、可能であればガヤ音声でお願いいたします。
・性別の組み合わせを変えていただいた際、人称や語尾を女性・男性・オネエ風などに変更していただいても構いません。
☆以下、本文
SE:終始、居酒屋のがやがや。場面により小さくしたり大きくしたりするのはお任せ。
全員「王様だーれだ!」
高田「あ、ハイッ!私! 私、王様!」
飯山「ええ~高田かぁ……俺、すんげー命令考えてたのにー」
高田「飯山課長は私たちにしょっちゅう残業とか出張とか命令してるじゃないですかぁ。今日は私が王様! いぇーい」
佐々木「はいはい、じゃあ王様、ご命令をなんなりと」(かなり酔っている)
高田「はーい! じゃあねえ」(にやついてここで2秒ほど溜める)
高田「5番の人はぁ、2番の人にいつも思っていることを正直に言う! つまんないこと言ったら死刑」
飯山「高田、つまんないことってどんなの?」
高田「高田とか呼んじゃダメ! 今、余は王様だから! はい、5番の臣民よ、立つがよい!」
佐々木「……はい」(かなり酔っている)
高田「じゃあ佐々木主任が5番ねー! じゃあ2番の我が国民も立って~」
飯山「えっ……俺2番だけど……? えぇ?」
高田「はいはい飯山課長ねー! さっさとほら、二人ともこっちにきて向き合って」
飯山「えっ」
高田「はい、5番の臣民よ、言いたいことを2番に言うがよい。なぜなら、王様の命令はぁ?」
飯山と佐々木を除く全員「ぜったーーーい!!」
************
/*もやもやとしたSE*/
飯山(心中の独白)「あーやだなー……佐々木、俺の悪口言ってんの聞いちまったんだよなー」
飯山(心中の独白)「仕事が遅いとか食いもんや服の趣味とか、そういうとこまでねちっこく言ってたんだよな……絶対あいつ俺のこと嫌いだし」
飯山(心中の独白)「皆の前で何言われるかマジ怖ええ……でもここは余裕を見せないと……」
/*もやもやとしたSE終了*/
************
佐々木「あの、王様、ちょっと勢い酒、いただいてもいいですか?」
高田「イイヨイイヨ~」
飯山「げっ!! それバカルディ151……」
/*グラスに酒を注ぐ音→飲み干す音→勢いよくテーブルに空のグラスを置く音*/
飯山「佐々木、目が据わってるよ? 大丈夫?」(ビビっているのを押し隠すように)
佐々木「大丈夫です」(かなり酔っている)
佐々木「じゃあ今から言わせてもらいますけど!」
飯山「お、……おう、俺も一応管理職の端くれ、言いたいことがあれば受けいれる」
佐々木「…………本当ですね?」
飯山「う、うん……死ねとか会社辞めろとか、そういうんじゃなかったら」
佐々木「そんなこと……言うわけないですよ」
/*5秒ほど溜める*/
佐々木「……好きです」
/*3秒ほど溜める*/
佐々木「好きなんです……飯山課長」(控えめに泣きだす)
飯山「あっ、うん、俺も佐々木好きだけど?」(ビビりきっているのを押し隠すように)
佐々木「ちげーよ!」(被せ気味に怒鳴ってテーブルを叩く)
佐々木「ちげーんだよ馬鹿!じゃあ聞くけどあんたどういう風に私のこと好きなんだよ? え?」(泣きギレ)
飯山「いや……その……頼りになるなぁって……えっと、すみません」(隠しきれないビビり)
佐々木「謝んじゃねえよ惨めになんだろうが! 頼りになるんなら頼れよ馬鹿! もっともっと頼れよ! 独りで何もかも背負って、カッコつけんじゃねえよ! カッコいいじゃんかよ、ちくしょー!」
飯山「……あ、今俺のこと馬鹿って言った?」(ちょっと威勢を取り戻す)
佐々木「ああ言ったさ! つか今の台詞の趣旨、あんたぜんっぜん聞いてなかったんだな?!」
飯山「ちょっと待て、じゃあ俺も言わせてもらうぞ! お前、昨日給湯室で俺の悪口言ってただろ! シャツがいつも同じでみっともないとか、肉ばっか食って脂ぎってるとか!」
佐々木「悪口じゃない!」
高田「ふはははははは……5番はのぅ、2番の悪口を一通り言った後、いつも『でも好き……しんどい……』で締めくくるのじゃよ。聞こえてないと思うておるじゃろうが知らん奴はおらん。っていうかそろそろウザい」
佐々木「ウザくて悪かったな!」
飯山「ってことはこの王様ゲームは八百長で、俺は嵌められたってことか?」
高田「嵌められたなどと、王に向かって不敬であるぞ!」
全員「そうだそうだ!」
高田「のう、2番よ。5番の臣民は2番のQOLをいつも気にしておるのじゃ……昨日だって、5番は2番に渡そうと野菜たっぷりのお手製弁当を持ってきていたのであるぞ」(しんみり)
飯山「うわぁ…… 重っ」
佐々木「……だって、飯山課長のためにできることってそういうことしかないじゃん……」(泣く)
飯山「仕事真面目にやってくれるだけで充分だって!」
佐々木「あんたのそういうとこがだめなんだよ!……いやだめじゃないけど………むしろ……」
高田「勇気が出なくて渡せなかったハライセで5番の悪口を言いながら弁当を給湯室のゴミ箱に叩きつけようとしていたのを余がおいしく頂いた。5番は良き家庭人になるであろう」
飯山「……なんか……カオスだな」
高田「天空の城が嵐の中にあるように、愛は混沌の中にこそあるのじゃ!」
飯山「意味が分からんのは俺だけなんだろうか……」
高田「考えるな、感じろ、なのじゃ。ところで2番よ、5番とこれからどうするつもりじゃ」
飯山「こっちがどうすればいいんか聞きたいわ!」
佐々木「……帰る……もう帰る……」(ぐすぐす泣いている)
高田「2番よ、今夜はもう5番を送って行ってやるがよい。それこそ送り狼推奨ってことで」
飯山「お前ら、覚えてろ」
高田「うむ一言一句覚えておる。退位後も余は今夜のことは忘れぬ」
飯山「くそっ」
高田「くそなんて下品なことを申すな。うんこと申せ」
飯山「もうやってられん!……ほら、佐々木!帰るぞ! ほら立て!」
佐々木「立てない……」
飯山「しゃんとしろ! 肩かしてやるから! よいしょ!」
佐々木「課長……好きです」
飯山「まだ言うか」
佐々木「飯山課長にこの気持ち伝えられたから……もうこの世に怖いものはない……」
全員「ひゅーひゅー!」
高田「飯山課長も佐々木主任もお幸せに!」
佐々木「……課長に肩貸してもらってるだけで……もうね……死んでもいい……あったかい……このまま死にたい」(虚ろ)
飯山「……佐々木もひっくるめてお前ら、マジで覚えてろ」
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