第201章 ロジカルと正論とハラスメント

 巷のどこかの港では『ロジカルハラスメント』という言葉が踊っているそうです。

 その噂は、ほんの少しだけ不思議な香りがします。

 なぜなら、『ロジカル』が『正論』に変わっていたからです。






テツガクちゃん

 巷のどこかの港では、『ロジカルハラスメント』という言葉が踊っているという噂です。

 この噂は、ほんの少し不思議な香りがします。



肯定

 『ロジカルハラスメント』。

 『論理的な嫌がらせ』という感じかな。


 きっと、そういう嫌がらせも、確かにありそうだけど。

 ガクちゃんは、どこに不思議さを感じたのかな?



テツガクちゃん

 私が感じた不思議さ。

 それは、この噂が『正論的な嫌がらせ』という形になっていた事です。


 ロジカル、論理的という言葉が。

 いつの間にか、正論に変身していたんです。

 


肯定

 そこか……たしかに、それは不思議だね。

 確かな不思議が香るように。


 論理的と正論。

 そこには、ほんの少しだけど、確かな違いがあるよね。



テツガクちゃん

 ありますね。


 例えば、肯定さんの机の上です。

 一見、とても散らかっていて、非効率で生産性に優れた環境には見えません。


 ですから、作業効率を上げる為に、机の上を綺麗にしましょう。

 きっと、これは正論だと思います。


 ですが、あえて散らかった環境を維持する。

 その方が、今の自分にとって最高の状態だと気づいて、納得できたのなら。

 きっと、これは論理的なことだと思います。



肯定

 そ、そうなんだよ!

 決して、いい加減な理由で、散らかしているんじゃないんだ。


 この机の上には、納得できる、確かな重さの論理的な理由があるんだよ。

 もちろん、正論ではないけどね。


 だけど、ほら、ホームズさんも言っていたじゃない?

 無秩序のように見えて、この状態が一番秩序だっているんだ、と。

 僕は形から入る人だからね。

 だから、形から入ってみようと思ったんだ!

 

 これも論理的だよね?



テツガクちゃん

 もちろんです!


 肯定さんが納得しているのなら、それは論理的です。

 そして、私もその考えに納得しています。


 論理的なことは善悪に囚われません。

 考えて、考え抜いて、正しいや間違っている。

 その先にある、何かを明かし、納得できることだと思います。

 

 自分を含め、誰も納得できないのに、ただ正しいと信じているだけ。

 それは、論理的というより、信じたい正論でしょう。



肯定

 そうだね。

 正論と論理的な何か。

 そこには、確かな重さの違いがある。

 

 正しいか、正しくないか。

 その幻想をも突き抜けていく。

 散らかった机ですら、何かの意味があるように思えて、納得してしまう。


 そういうことができるのが、論理的な何かかもね。



テツガクちゃん

 私もそう思います。

 ですから、『論理的な嫌がらせ』。

 

 もし、それがあるのだとしたら。

 ただ、正論をぶつける、と言うよりは。

 善悪や正しいか正しくないか。

 その議論の世界を突き抜けて、論外の世界へ連れ出してしまう。


 そんな悪戯なのかもしれません。


 きっと、その悪戯を好んでいるのが私達でしょう。


 あなたはどうでしょうか?

 『論理的な嫌がらせ』に困っていますか?

 もし、そうであるのなら、申し訳ありません。





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それでは、また次の機会にお会いしましょう。

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