閲覧数を倍にしてくれる魔女

 これは作品のPVを倍増させたかった、とある小説書きが魔女と出会う物語である。



小説書き「ついに会えた! 十三人目。今度こそ本物の魔女だ!」


魔女「よくぞこんな辺境の地までたどり着いたものね。面白そうだから願いを叶えてやるわ」


小「僕、ウェブ小説を書いてるんですけど、PVが全然伸びなくて……」


魔「そうかい。で?」


小「PVを倍にしてほしいんです」


魔「任せなさい。このマジックアイテム『パスワードクラッカー』とノートPCを接続して、小説投稿サイト『力久EV』のPVカウンターをコチョコチョっと……」


小「待って! それじゃあ犯罪じゃないですか! 僕は数字じゃなくて、たくさんの人に読まれて、PVを伸ばしたいんです!」


魔「面倒な子だねえ。じゃあ私のもとで年に五本の長編を書くんだ。二・三年もやれば一本くらいは今の倍のPVがとれるだろうよ?」


小「えーめんどくさい」


魔「(めんどくせぇのはお前だよ)」


小「もっと魔法っぽいのはないんですか? 例えば、じっとしていてもお客さんが寄ってくる宣伝マジックアイテムとか」


魔「じっとしていてもいいマジックアイテムか……あるわ」




 チャッチャラー!




小「おお、効果音が新しいですね! 何ですかこれは?」


魔「(いや結構長いぞ?)『魔法の糸車』~!」


小「すごーい! 魔女っぽーい! どうやって使うんだ――いてっ……ぐうぐう」


魔「この糸車の針を指に刺すと、百年間眠り続けるの。百年も経てば今まで稼いだのと同じくらいのPVは入ってると思うわ……多分ね。あと『力久EV』のサイトが存続していれば……って、聞いてる? おーい」




   おしまい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る