お題「神様」「迷信」「楽園」
「……で、俺の両親が俺のために祈り続けたから、あんたがやって来た、と。その得体の知れない迷信にのめり込んで」
「迷信ではないぞ、少年よ!」
目の前には、タンクトップに迷彩柄のハーフパンツを履いた、コーヒー色の肌の男。
「なぜなら、私という信仰の対象がちゃんと存在するからだ!」
この男、神様らしい。
最初は疑ったが、彼が何もない空間からトレーニングチューブを出すのを見てしまったので、信じざるを得ない。
神様が白い歯をニカッと見せる。
「ご両親が『子の幸せ』カテゴリに一万ポイント以上の信仰心を注いだので、私は君を楽園へいざなうためにやってきた!」
「楽園!」
何? その神展開! 神だけに!
俺もこいつのこと、信じてもいいかもしれない!
「で、楽園ってどんなところなんだ?」
「ふっ、涙を流して喜べ!」
神様は胸の筋肉をピクピクさせながら笑みを浮かべた。
「何と、一日中行軍運動と選べる部位別筋トレがやり放題! さらに選択制だが選んだジャンルのスポーツを、トレーナー付きで一日三時間以上確約だ! 楽園だろう?」
「ぐふぅ……」
うっ、ちょっと吐き気が……
「ち……ちょっと多いな。やれないときはどうするんだ?」
急に神様は、神妙な表情を作った。
「……地獄へ落ちる」
「じ……!?」
ごくりと喉が鳴る。
気まずい雰囲気。
神様は地獄について語り始めた。
「一日の半分をカウチに座らされ、ピザと炭酸飲料を摂取させられながら映画を見せられ続けるという、世にも恐ろしい地獄だ……」
「……あ、俺最初から地獄で」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます