第4話 地図を読めない女と話を聞かない男
昔にヒットしていた記憶。
少しかわった女と少しかわった男。
ボーダーとカップルが成立してしまう人も
それなりにそういう要素があるようにやはり思えてしまう。
藤沢とぐだぐだしていたあいだに私はネット環境を手に入れた。
男女の弱さが結びついた関係をなんとなくは理解してはいたが
自分が体験をしてみてあらためて思ったことがあった。
相手のやさしさ卑怯さをおかずにしながら
当時流行っていた「そばにいるね」青山テルマに聴き入り
涙を浮かべてみたりした。
まだ涙がこういうことで浮かぶ自分が少しうれしかった。
そこから悦に入ってみたりしたが
はっきりしないこの関係。
そのときの私は自分なんかとセックスをしたいという男は
この人だけかもしれないと
いつもそれなりに毎回一生懸命だった。
身体は正直という言葉を真に受けていたかもしれない。
身体なんかくそくらえ。
その人の心は行動やさりげないしぐさから感じとられるもの。
それを知っていたはずなのに。
白黒思考に侵された脳ではそういうあいまいな角度のことを無視して
はっきりとした証拠を求めてしまう。
そしてその証拠は証拠にもならず「あのときこう言っていた」と
相手を尋問をするものにしかならないことも。
何度繰り返してきただろう。
おもてなし、ではないが
せめてこんな私といた時間をたのしい記憶として置いておいてほしい。
へりくだりすぎたそんな気持ちが強かった。
堕ちた私にはお似合いだ。
自虐的にそう思う反面こういう心持ちの男に
20代前半の女の子が出会ってしまったら。
そんなことがときおり頭をめぐる。
犯罪じゃない、けれど本人が思っているよりも重罪だろう。
心のすきまや弱みをつけ狙い、私欲を肥やそうとする行為は
事情がどうあれ、きっとすべてが詐欺師につながる。
人間だもの、
罰を受けなければ、いや、受けてもわからないことは
これからもたぶん歴史のようにつづくと思う。
高機能型境界性パーソナリティ障害
ボーダーと罵声を繰り出すのは同じ。
でも私はリスカをしたりODをしたり「もうヤダ!死んでやるー!」
これがない。
さらに言うなら相手にしつこく電話したり大量のメールを送りつけたりという
「ザ・ボーダー」なボーダーらしい華々しさもなかった。
だから余計にわかりにくい悲劇が生まれていたような気がする。
普通の境界性パーソナリティ障害に関しても
病院はどこまで把握しているのか。
警察沙汰や自殺未遂を起こしてやっと診断名が降りる。
そんなイメージがある。
素人が診断名をああだこうだ言うものではないけれど
ボーダーの概念自体には、現代にありがたいと天に感謝したい。
ずっと狐憑きにされていた時代はとうに過ぎたのだ。
単純にいえば行きすぎた右脳派左脳派の出会い。
それがなんだかんだでこじれましたよ。
ただ、そんなことではないだろうか。
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