喋る聖剣とハルの勇戦記

@ks77-starbox

第1話 「さぁ、旅立ちだ」

と、誰にも向かて言ったわけでもない。

強いて言うなら、自分に言い聞かせたのだけど・・・・・・・・


「ようやく、出発か!!退屈してたんだぜぇ。マスターよ。」

しっかりと聞かれていたようだ。

未だに慣れない、剣が喋るなんて・・・本当に聖剣なのだろうか?と疑いたくなる。

僕を呪った邪剣ではないかと、いまだに半信半疑なのだ。

なんだか未だに慣れないので、背中のリュックに横づけになている状態だ。

さて気を取り直して

「えーと、次の町でウェル隊に合流するんだったなぁ。」

訓練を終えてから僕にとっての初任務になる。色々と緊張やら期待やらのごちゃごちゃした気持ちでいっぱいなのだ。

 独り言も許してほしいものだけどぉ。


「マスター独り言こぼすなら、ほら!!俺と会話しようぜ。」


「うるさい。今は会話したい気分じゃないんだよ。」

僕は不機嫌になりながら、語り掛ける聖剣に言い返しながら、地図を見直す。

ふっとこんな茶番劇をしばらく続ける事になりそうな予感がして、寒気がした。

 そんなこんな聖剣との茶番劇を繰り返しながら歩みを進めいぇいくと、この剣技を学んだ街ウォルズの門にたどり着いた。

 「通行書を拝見しよう」

 僕は挨拶と通行書を渡した。

 「ほう、ウェル隊に所属するとは、見込みのある少年だな。頑張ってくるんだぞ。」

 「はい、ありがとうございます。頑張ってまいります。」

 僕は緊張気味にお礼を述べる。

ちょっと堅めの言葉返しに、門番は笑いながら僕の肩をトントンと叩いてきた。


(さぁ、僕の旅立ちの始まりだ)

門をでて街の外にでた僕は一言思ったのだ。


 ウェル隊がいるのバスタームは半日と数時間で徒歩で着く距離にある。僕は急ぐこともなく着実に歩いている途中だった。


「ゴトゴトォォオオオ」


猛烈な速度で馬車が1台過ぎていく。

 「危ないなぁ。」

 「ククック。マスター、ビビってるな!!」

 「うるさいなぁ。何をそんなに慌ててるんだろう?」

 「大方、どこぞの貴族だろう。」

と、のんきな会話を続けていると、大慌てで馬車が通過した理由が分かったのだ。


 「やばいな!!囲まれちゃったかな」

 「ばっちり囲まれてるなマスター。」

馬車を襲撃する予定だったのか、8,9体のウェアウルフに完全に囲まれた。

遠方から攻撃をしてくる様子もなく。じりじりと僕を囲みだした。

 「くっ。」

状況は圧倒的に不利である数もだけど、相手がウェアウルフっていうのが厄介だ。

(どうしよう。こんなところで・・・・・・・)

死ぬ気はさらさらなかった。

(だけど・・・・・)

悪あがきかもしれないけど、腰から剣を抜き構える。

僕より素早い相手に対してできることは、着実に重い一撃を致命傷を与えること。

 「シャ・・・・・」

何とか1体目のウェアウルフの攻撃をかわして、わき腹に鋭い一撃を放つ。

若干攻撃が浅くなったが、1体目の動きを封じるには十分だった。

 (来る・・・・・・)

3体同時に動いた。

 「うっ・・・くっ」

気が付いたら地面にあおむけに倒れていた。幸いにも深い傷は追っていないようだけど。

 (かわせない)

そう、次の攻撃は防ぐことも避けることもできすに、確実にヤラレル。

 「うそ・・だろぅ・・・・・」

僕は目を閉じた。

 「マスター、俺を使え。死にたくないなら、俺を使え。」

頭に響く聖剣の声。

 「そこに・・居るんだな・」

手に伝わってくる聖剣の感覚・・・・・・・・



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