人間兵器だった私が異世界で生活するお話

しらつめ

第0話 苦しみからの脱却

止まない銃声、どこからか悲鳴が聞こえてくる


草木は汚染され黒く変色し、人が飲める水や食料は帝国や組織がほとんど独占しそのおこぼれをたくさんの人が争い奪い合う


この戦争が始まってもう何百年たって何人死んだのだろうか


私も数えきれないほどの人を殺した、私に向けた憎悪を何度も見てきた。


何度も死にたいと思ったが組織がそれを許してはくれなく私はただ組織の人形として生きていくしかなかった。いや、思考制御をされていたから生きていると言っていいのか分からないが


自分を自由に動かすことが出来ない私は自分の中でただ耐えて祈ることしか出来なかった。




いつかこの身が死ぬことを望んで_______。








ーーそしてとうとうその日がやってきたのだ


"私"は単独任務終了後に帝国軍の精鋭部隊による奇襲に遭った。

いつもならこのぐらい簡単に対処できただろうが敗因は


任務中の戦闘で主要リンクが少し損傷していたこと


敵の1人の能力が"私"とは相性が悪く、"私"と組織のリンクを切ることができたこと


そして序盤で思考制限のリンクが切られたことにより少しずつ"私"が私となり戦意がなくなり被害が低減すること


ができたからであろう。



私にはもう動く力も立っていられる力もなく、へたれこんでいた。


「………No86、貴様の外部からのリンクを全部断ち切った、もう助けもこないし魔力供給もできない、貴様が死ねばじきに戦況はこちらの有利へと大きく変わり悪しき組織は消滅し世界は平和へと向かうだろう。何か言い残すものはあるか」


目の前でずっと無表情で剣をかまえている帝国軍の剣士が言った。



完全に私となり、組織からの通信も制限も見張りもない今なら死ぬができるだろう



やっと死ぬことができる、これ以上罪のない人達を殺さなくてもよくなる。



今自分を殺そうとしている剣士へと顔を上げる


「殺してっ………」



この悪夢から抜け出すことができる安堵とこれまで感情制限によりこれまで押し込められていたもの全部が自由となり涙になって溢れ出す




それを見て剣士は少し驚きの顔を見せ、そしてその顔が憎しみに染まった


「はっ、お前が犠牲者だろうとルチを殺し仲間を殺したことにはかわらねぇ!お前はあいつらの未来を奪った、お前が死なないとあいつらにあう顔がねぇしこの世界に平和は訪れない!あぁ、いいよ、お望み通り殺してやるよ!!」


剣士は憎しみをさらに増せて剣を両手でもち、振り上げ私のコア、魔石に目掛けて振り落とす





パキッと魔石が割れた音がした







その反動で私の体が傾く






力が入らない意識が遠くなる







あぁ、これでやっと死ねるんだ大好きだったあの子の元へといける






あの子が死んでからずっと忘れていた笑顔が今になって戻ってきた






そして体が倒れたと思われる反動がして私の意識はそこで途絶えた。





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