有識者の見解

髙田野人

性の有識者はかく語った

 わたしはLGBT、レズやゲイ、バイセクシャルなど性嗜好におけるマイノリティの権利について詳しい識者の彼を前にしていた。目の前の簡素な椅子は木で造られており、わたしが腰をおろすと硬い金属とは違う、柔らかな軋みの音がした。


「LGBTとは病気なのでしょうか?」


「LGBT、レズやゲイ、バイセクシャルといった性嗜好におけるマイノリティは病気ではありません。むしろ個性や多様性と呼ぶべきものです。社会は彼らについて、もっと理解を示さなければなりません。わたしたちはLGBTを性の多様性として寛容に受け止め、みんなが協力しあい、誰もが幸せになれる社会を築くべきでしょう」


「では、いわゆるロリコン、小児性愛者ペドフィリアたちは?」


「病気です!! 許されざる病気です!! 二次元、三次元を問わず、すべてのメディアから排除されるべき忌まわしい存在です!! あぁ、年端もいかない少年少女たちを性嗜好の対象としてするなんて想像しただけでもおぞましい!!」


「なるほど、そうですか」


 わたしは識者を自称する彼のことばに、深い頷きでもって返したのだった。

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有識者の見解 髙田野人 @takadaden

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