拝啓。異世界の空も青く広いです。
風色猫
第1話 転生したら雛でした。
なにこれっ?
硬い!ぐるじぃ~?
拘束されてる!?
なんだか硬い壁で雁字搦めにされてる!?
いやっ!怖い!怖いよ!?
―ふぬぅ~~~!!
俺は必死でもがき続ける事数分、
何とか頭の拘束が解く事に成功した。
(パキッ)
何かを破る感触と共に顔に空気が当たる。
ふぃ~。助かった~!(ピィ~ピィ~)
ン?この鳴き声?自分の口から出たの?
って、あれ?目が開かない!
ちょっ!誰か助けて!(ピィッピィ!)
何でだよっ!ピィ!じゃないだろ!?
まさかだよな?
頭しか動かせないから、仕方なく口で身体を拘束している何かを噛んでみた。
カツン。
なんだこれ?変な感じだ?
これって?
何で俺の口から生えてる訳だ?
身体を拘束している固いモノを突いて齧って丸っこい舌で触ってみた。
このザラザラの感触覚えあるわ~…。
えっと?
確か昨日はバイトが終わって
帰宅したんだよな?
自転車に股がって、
帰りに唐揚げ定食を食べて?
それからそれから?
あれっ?帰宅した記憶が無いんだけど?
なんだこれ?なんだこれ?!
どうなってるんだ!
意味が分からないって!
俺は嘴で身体を覆っていた何かを八つ当たりするようにひっぺがす!
嘘だろう!夢かなんかだよな!?
じたばたしてみた!
って、おわっ!(ピィ!)
身体を拘束していた何か割れて、
身体が前に投げ出された。
ポテンと倒れた床にはなんだか
モフッとした感触がある。
―これって羽毛かな~?あはは?
腕を伸ばしてみた。閉じてみた。
両腕の動きが手羽っぽい感じだ。
足をイッチニと動かしてみた。
なんかクリスマスっぽい感じがした!
目が開かないから分からないけど、
理解してしまった。
―何か間違いないわ~?
何でこんな事になってんだよ?
そして、木の匂いが漂うお家に
羽毛の絨毯だろう?!
―俺、鳥になった!?!?
鳥になった俺!ハッピーバースデー!
羽毛の海を這いずり回っちゃいますよ!
夢なら早く覚めてくれ~!
―て、寒い!身体濡れてんのか!?
震えてきた!目が開かないって事は生まれたての雛なのか?身体もまともに動かないし!まだ羽根もないっぽいし!
―おっ!嘴に温度を感じる!
そこに突撃した!なんだこの塊?
もしかすると自分の家族の方々ですか?
「ピィピィピィ」
「ピィピィ~」
「ピィピィピィ~」
やっぱりですか!弟が失礼しますよ!
めっちゃ寒いんですよ?
真ん中入れて下さい!
―ぐいぐい
はぁ~。暖か~…。
兄弟達は体温高いな~。
はぁ。とりあえず落ち着け。
人の心を持った鳥ってなんなんだ?
これからどうすれば良い?
―はぁ…。(ピィ…)
―兄弟達よ?どうすれば良いと思う?
(ピィピィピィ~?)
―無視された…。
意志疎通はできなかったか。
当然と言えば当然か…。
兄弟達にも羽根はない。
俺達生まれたてなんだよな。
そう言えば何人兄弟なんですか?
―答えはないよな…?
なんかどっと疲れたよ。
考えても分からない。
仕方ないからとりあえず諦めた。
―目が覚めたら我が家に居ますように…。
押しくら饅頭と体温の心地良さにいつの間にか眠りに落ちていた…。
◆◆◆
「「「ピィ~ピィ~ピィ~」」」
―なんだ?!何事だよっ?!(ピィピィ!)
兄弟達!何の大合唱なんだ!やかましいんですが?!てか大っきな気配を感じる!
敵ですか!
すごい怖い!誰か助けて~!
(ピィ~ピィ~ピィ~!)
次の瞬間口何かを押し込まれる。
それを本能のままに飲み込んでしまった!
―んぐっんぐっんぐっ!
何?めっちゃクリーミィーだったんだけど?
何かお腹いっぱいです!
ありがとうございます!
でも何だったの?自分が飲み込んだモノはなんだったの?!
―んおっふ!
突然上から圧力を感じた。
モッフモフで体温高かった!
あ~、もしかすると父ちゃんか母ちゃんです
か?すみません。
敵だと思ってごめんなさい。
これが包卵ってヤツですですよね?
何だかすごく安心します。
次に目が覚めても相変わらず鳥か…。
でも飢える心配はなさそうだよ…。
―一体飲み込んだモノはなんだったのかな?
◆◆◆
それから2日くらい『食っちゃ寝』と排泄を繰り返してます。
未だに目が開かないからやる事無いんだよ!とりあえず、排泄物は父ちゃんか母ちゃんが処理してくれた。お手数掛けます。
身体も動くようになり、身体の至るところを嘴と舌で確認する。間違いないわ。
何回確認しても鳥だよな…。
見てよ!俺から手羽が生えてるよ!
手羽には爪も生えてるよ!
―しかし何の種類の鳥なんだろう?
今の自分は雛で出来る事はないと
ようやく気付いたよ。
とりあえず成り行きに任せるままに
食っちゃ寝を繰り返す。
おぅ!また口にエサを押し込まれた!
何か触覚やら足やらが食道を通過していく。
もうね?慣れれば何とかなるもんさ…。
―大人になれば飛ぶ事が出来る。それだけを希望に眠りに落ちるのだった…。
――――――――――――――――――――
あとがき
色んな人に迷惑を掛けつつ、迷走してます。
ごめんなさい。
頑張って書きますから暖かい目でお願いします。
もし面白かったら星頂けると幸いです。
コメント頂けたらうれしいです。
それではよろしくお願いします。
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