吾輩はLv999の猫である、名前はまだない。
Lily
序幕 吾輩は転生したのである、名前はまだない。
太平は死ななければ得られぬ。
はっと気が付いた時には吾輩は記憶の中でも一番遠い、それこそ人間がこぞって小猫と呼ぶ姿に成っている事に気が付く。はて、これまた奇怪な。一体何がどうなってこうなってしまったのやらと吾輩は、辺りを見渡した。どうやら
さて、どうしたものかと水場に
ゴゴゴゴといった地響きが奥の方から聞こえる。其れはとてつもなく強大で巨大な何かであった。逃げる間もなく対峙した其れを吾輩は見たことがない。吾輩の知る限り、其れの姿は実に異形と呼ぶに相応しい成りをしていた。
さて、其れからどうなったのかというと物の怪は、どうやら吾輩を今すぐ食らうつもりはないらしい。今は未だ小さいからなのか、それとも物の怪の気まぐれなのかは想像も付かぬが当面の心配はなさそうであった。恐らくは……。移動の途中、眼を眠らせずに薄目だけを開けていた。どうやら暗がりには吾輩がかつて見たことがない動物が沢山存在している様だ。それだけではなく光る不思議な岩や、妻君がいくらか持っていた透き通った色のついた硝子等がそこかしこに散らばっている。猫の目にしてみても、それらは貴重な物ではないか主人に持っていったら気でも狂ってしまうのではないかと思う品々ばかりだ。のっしのっしと歩く物の怪を他の動物は避ける、中には吾輩の様に身を縮ませているものまでいる。それは至極当然な有様であった。しばらくして、物の怪は何を思ったのかぐわりと大きな口を開けて吾輩を口に含んだ。流石にこれはもう終いだと思ったが噛砕かれたり呑まれたりはせず、しばらくして口がぐわりと開く。そうして、物の怪はまたしても吾輩の頸筋をつまみ、地面へとそっと置いた。置かれた場所は、地面ではなく何やら動物の皮の上の様子である。兎かあるいは犬か、猫ではあるまいが兎に角初めて見る柄の動物の毛皮の上に置かれていた。ぶるりと体を震わせ水気を払う。口の中に含まれれば多少は
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