2020/06/23

2020/06/23


 自身の悪癖を数えれば、此れは枚挙に暇が無い。とは言え、其れ等に対して自覚的で在ることには少なからず歓迎の意を持っていた。大多数に於いて自己嫌悪は行動の意思を妨げ挫く悪感情足り得るのだろうけれど。こと私自身について述べれば、自己嫌悪は捻くれた精神の原動力に代わる事がまま在る。


 「相変わらず自己弁護の上手だね、『気が向いた時しか家事をしない』なんて惰性に尤もらしく理由を付けるんだ?」


 流し台に向かう私の背後で彼が感心した様に声を上げる。語気には当然に呆れを交えても居るのだけれど。主観ではあるが、生来の出不精には皮肉屋が多い。自身の領域に篭りきり世間を傍目眇に捉えて居れば然もありなん。私自身其の多分に洩れはすまい。


 「惰性とは御言葉だな、やる気はいつだって持ち合わせとる」

 ただ機を逸しているばかりに過ぎない。一事が万事、私自身の半生がそうであった様に。


 「皿洗い引き合いに人生観語る彼氏は格好悪いや」

 「皮肉ばかりのダーリンは可愛くねぇなあ」


 笑う嗤う、此の程度が性分に沿うているのは互いに自覚して。先々までも此の有り様で在って良いと本気で思い込んでいる。他の在り方が要ったかと自問する事もない。今は間違いなく、共に生きる次には幸せじゃあないか。

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