碧海高校、生徒会(候補)記録簿2
「挨拶運動とかいいんじゃない?」
「みなみ、ここは一様高校だよ……」
一様とは、まあ俺含めてこの学校を舐め腐っている身からしたら当たり前の様に出てくる言葉。身の丈に合った高校がいいよ……。
まあそんな人生の先輩は置いておいてさっきからこの伊良湖が何かを提案しては羽豆が反論するという体制がもう始まってはや45分。流石にヤリチンと言えどしびれを切らしたのか、今まで机の角をギーギーやっていた手を止め、正面を見、羽豆に向かって言葉を紡いでいった。
「あれ?羽豆さんは何か考えがあるの」
「げっ」
分かりやすすぎだろこいつの反応。ヤリチンから指摘されたとたん、急に艶やかな黒髪の先っぽをぴょんぴょんして遊んでいる。何こいつ、急に女子みたくなりあがって。
「口だけとはみっともないぞ、羽豆」
「そうだけど……」
眼鏡からも集中砲火。やめて、やめてあげて!(切実)。もう羽豆のライフは10よ。ちなみにこのライフは俺からさっきまでの期間中、ドレインしたものだ。という事で俺のライフは0。なので帰っていいですかね?というか帰るべきだと俺は思う。死んじゃうよ!
なんか俺もこの前コテンパンにされたは筈なのに羽豆が可哀そうに見えてきてならない。じゃない?いまの羽豆、すごく庇護欲が湧いてしまうのだけど……。
そんな中、羽豆は、別に大したことじゃないけど……っと大したような顔をし呟きながら、その続きを紡いでいった。
「やっぱり部活動の活性化かな?」
『ほんとに大したことなかった』
俺らは一斉に本人に聞こえる様つぶやく。ほんと俺等って性格悪いよな。
「だから大したことないって言ったのに……」
「いやそれフラグでしょ」
ヤリチンの幼い声が今の現状なってみれば仮面ライダーファイズのキックで出てくるエフェクト、なんかあのドリルみたいに羽豆もとい、俺に刺さってくる。
てか555懐かしいよな。ファイズだけ変身ベルトもってたよ。
そんな変身ベルトを片手に、伊良湖は全くあくびれもなく羽豆をいい子いい子しながら艶やかな唇で慰める。
「まあしょうがないよ咲、多分私の影響だから、そんな気負わないで」
「なんで羽豆の味方風に装って自分の好感度上げに言っているのだよ!ゴミかよ!ゴミだよ!
「何故君は自問自答……」
ツッコミ魂だけは抜けなかったらしい。
はあさっきからずっとこんな感じ。これ、あんまりまとまりそうじゃないな。
窓を除く夕日が落ちてきてままならない。雲の合間を縫ってやってくる陽は、どんな紅葉よりもきれいだった。
そんな夕日に照らされながら俺らは他愛のない会話を続ける。
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