溺れるほど愛してみな。

紫園 梨央

第1話 賭事の対価

「さて、負けた君から何を貰おっか。」

少し唇に当たる人差し指はまるで欲しいオモチャを眺めているようにも見える。

・・・なんでこんな事になったんだろう。

私は負けたことより事の始まりに後悔を抱いていた。ゲームは至ってシンプル。このビルを次にゲートを通るのが男か女かというものだった。それよりもさらに時間を巻き戻す・・・となると、私はただ朝カフェのオーダーを後の人のと間違えた位だったのだが・・・・相手が悪かったとしか言いようがない。テーブルに着いて一口

・・・・んっ?ハニーラテじゃないσ(^_^;)?

トントンと肩を叩かれ、

「それ。俺のなんだけど。」

サングラスをかけたすこし今時の男の子が立っていた。しかもニタッと笑顔でいる。

「ごめんなさい。m(__)m弁償しますね。」

頭ん中真っ白になりながらレジに向かおうとすると

「良いよ。」

そう言って引き戻され、座らされると向かいに腰を下ろし、

「俺と遊んでよ。お姉さん好みだから、」

ニタニタしながら話しが勝手に進む。悪い子には見えない。でも、年は20か30くらいに見える。すらりとポーズも決まり、さながらアイドルのようでもある。

私はただこの状況をただ聞き流すしかなかった。


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溺れるほど愛してみな。 紫園 梨央 @jointfromscratchwithchild

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