TRPG転生~無限に成長し続ける技能でまったり(?)冒険者ライフ

まなこんだ

プロローグ

突然だが俺は上野裕太、TRPGをこよなく愛する大学生だ。



TRPGを何だが分からない人に説明すると要するにRPGの祖先に当たるものだ。

 ゲーム機器などを使わずに紙とペンと指定のルールブックを使い想像の中で遊ぶゲームだ。




そんな俺はある日、友人宅で何時もの如くTRPGをしていた。

 その中でもインビンシブルTRPGと言うゲームシステムでよく遊んでいた、インビンシブルTRPGの大まかなテーマは矮小な人間が強大な怪物と対峙すると言うのもだ。

 TRPGにはおおかたキャラクターシートと言う所謂ステータス様な物がある。

 これはサイコロでステータスを決めるのだが、そこで奇跡が起きたーーー。




何とキャラクターシートのステータスが全て最大値を引き当てたのだ。

 ステータス決めなどサイコロで値を決めるわけだから殆ど運である。



それを全て最大値を引き当てるなど宝くじで一等が当たるより低い確率かもしれない。



「お前まじかよ……全ステータス最大値とか一生分の運使いはたしたんじゃねぇのか?」



俺の友人は引きぎみで語り掛けてくる。



「俺別にずるしてねーぞ‼」

「そりゃわかってるさ、サイコロふるところずっと見てたからな」

「こんな奇跡もあるもんだな、驚いたよ」

「さすがにこのキャラシはチート過ぎだ……作り直しを頼む、ゲームバランスが崩れるからな」



まぁ、それもそうだなと裕太は紙をグチャグチャに丸め新しいキャラシを製作しようとする。





   ーーーその瞬間だった。




視界が真っ白になり、意識が吹っ飛ぶように消え去っていく。




だが、それも一瞬の出来事ですぐさま視界は回復する。



  しかしそこは友人の家ではなかった。




そこは何処までも広がる広い広い草原ーーー考えるのも馬鹿になりそうなくらいに雄大な景色が広がってる。



「ここ……どこ?」



裕太は辺りをキョロキョロと見渡す。



「家では無いよな……」



裕太は自分の頬を叩いて見せる。

 普通に痛いーーーどうやら夢では無いようだ。



「ここってどこだよぉぉぉぉ‼」




裕太は草原のど真ん中で絶叫する。

暫くの困惑の後考えられるだけの冷静さを取り戻した裕太は考察を続ける。




  まずはさっきまで友人の家にいた、だが視界が真っ白になりきずいたら草原のど真ん中である。

 そして空にはドラゴンの様な生き物が鳥の如く優雅に旋回してる、翼の形や飛行の仕方が鳥のそれではないし、間違いは無いだろう。



「ここ地球じゃ無いよな? どうみても……てか夢でも無いよな?」



そしてある考えにたどり着く。



「これってもしかして異世界転生?」




異世界転生物ーーーラノベや漫画でよくある、一般人が異世界に迷い混む類いのジャンルである。

 裕太も異世界転生物はよく読むが本当にあるなど考えもしなかった。



「てか分けが分からん‼ まずここはどこだよ⁉ まず何事⁉」



裕太は軽い混乱を起こす、行きなり見ず知らずの場所に転移してたら普通はそうなる。



「こう言う時はどうすればいいんだ⁉ 考えろ……俺、何が最適なんだ⁉」



裕太の脳内に某ファンタジー小説の主人公の台詞が過った。

 まずは状況を確認だ、である。




「そうだよ‼ まずは状況を確認しないとな、そうしないと何も始まらないよな」




しかしどうすればいいのだと、再び裕太は悩み込む。

辺りは見渡す限りの草原だ、情報の集めようがない、ならば異世界転移物の付き物と言えばチート能力である。

 この手のジャンルは何かしらのチート能力を手に入れている物である。



だが特別な能力に目覚めた感じはない。

 しかし体を色々と見渡して見ると手の甲にstatusと書かれたマークが刻まれている事に気付く。



「ステータス? なんだこれ……」



裕太は手の甲に触れてみる。



「う、うわぁ‼」



そうすると空中にゲームのステータスの様なものが写し出された。



筋力18  体力18 

魔力18 知力18  

俊敏力18  精神力18

HP18 MP18



それは先程友人宅で製作した全能力がMAXのチートキャラクターシートのステータスであった、かなりゴチャゴチャと写し出されていたが問題ない程度のレベルである。



「これってさっきのキャラシのステータスだよな? もしかしてこのステータスどうりの肉体能力になってるのか?」



もう一度手の甲を触ってみるとステータスは何処へとも無く消えていく。




「何も無いよりはましだが少ししょっぱいな……」



裕太は少し残念に思う、仮にこのキャラシどうりの肉体能力になっていて最大値とはいえ所詮は人間の限界値であり、国を一人で滅ぼす処か村1つ殲滅することすらできないだろう。

結局は人間の範疇なのである。




そして何よりステータスを決めただけで技能値を降っていないのだ。

技能地は言うならある種の経験値の様なもので、例えばピアノが90あれば90パーセントの確率で演奏に成功する、と言った感じに物事の成功率ーーーある意味での熟練度の様なものだ。

 しかしこのキャラシはステータスを決めただけで他には何も決めてないのだ。



 と、この様な観点からかなりこのキャラシのステータスどうりの肉体能力と言うのは余り大きなボーナスとは言えないのだ。



「こんな事になるなら技能値をふっとけばよかったな、畜生……」



裕太は今更後悔するが、もう遅い。



「とりあえず、人気のあるとこまで行かなくちゃ何も始まらないよな」



裕太は人気のあるものを探すため歩き始める。



その瞬間生い茂る草むらから薄汚い緑の体色の子供のような化物の群れが飛び出してきた。

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