全般性不安障害者の憂鬱

結城彼方

全般性不安障害者の憂鬱

(この苦痛はいつまで続くのだろうか。)


全般性不安障害と診断されたのは割と最近だが、ずっと昔から人生が憂鬱だ。医者から処方される薬も、しばらくすると効かなくなる。効かなくなると量が増える。それが続いていた。


ある日、仕事の終わりに上司から八つ当たりをされる。その不快感を俺は即効性のある抗不安薬で凌ぐ。すると、心の中で声がする。


(そんなその場凌ぎに意味はあるのか?そんな事をしても、また明日、上司とは顔を合わせることは避けられない。)


そんな声を聴くと、もっと永続性のある薬が欲しくなった。


仕事帰りの駅で、線路という劇薬だが確実に楽になれる薬の存在に気がついた。


俺は一歩、また一歩と薬の摂取へと近づく。


そして一瞬の浮遊感と共に、身体からだの右側から薬の効果がやってきた。

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全般性不安障害者の憂鬱 結城彼方 @yukikanata001

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