Dream//.prison
影神
夢
夢とは睡眠時に自分が経験しているかのように感じる観念や
心像又は、睡眠時にもたらされる幻覚のようなものだと、
世間では定義ずけられている。
実際、夢というもの事態が未知の存在であるからして、
現代においても、明確に解明されているものではない。
未開や古代の考えでは、睡眠中に肉体から抜け出した魂が、
実際に経験したことがらが夢としてあらわれるという考え方が
広く存在したそうだ。
脳は睡眠時に見聞きした情報等を脳内で整理する。
整理された記憶の倉庫から引き出したり、
まとめたりの作業を脳が睡眠中に行い、
その過程を脳内で再生している状態が夢だと言うらしい。
夢とは自分だけが見ることのできる独特な世界観であり、
睡眠環境から取り込まれた刺激以外は体験したことや、
実際に目にしたものが断片的に組み合わされ、
脳内で夢と化してゆく。
例外として子供はテレビ、絵本、漫画などの外部刺激により、
夢の内容が左右されやすく、実体験以外の映像や想像以外でも、
それらが組み合わさり夢になることがあるのだそうだ。
だから夢は生活上密接に関わっているものが多く確認され、
日常の実体験を元により現実での内容で夢が構成されている。
神経生理学的に言えば、
夢は、レム睡眠の時に出現するとされ、
感覚遮断に近い状態でありながら、大脳皮質や、
記憶に関係のある辺縁系の活動水準が、
覚醒時にほぼ近い所にあるために、
外的や内的な刺激と関連する興奮により、
脳の記憶貯蔵庫から過去の記憶や映像等が整理され、
記憶映像に合致する夢のをつくってゆくのだ。
私はあの日のあの夢からずっと脱け出せない。
どうか、出来れば助けて欲しい。
いや、腕に銀の腕輪を巻かれそうになったら、
無理にでも夢から起きて欲しい。
でなければ、私達のように夢に閉じ込められてしまう。
私は高校生だった時の教師の運転で
バスのようなものに乗せられている。
ここでは私は学生のようだ。
他にも生徒のようなものが30名ぐらい乗っていて、
私はうとうととしてしまうが、
そこで寝るのをやめさせられる。
他にも眠たげにしている子がいるのだが、
皆寝るなと怒られる。
しばらく走っていると、
周りに寮のような建物が沢山あり、
そこにはバスの中からでも確認できる程の
ばかでかい太鼓が等間隔にある。
側には桜がちらほら咲いているので季節は春なのだろうか。
そんな事を思っていると、トンネルをくぐり、景色が暗くなる。
身体が斜めっているので、どうやら上がっているらしい。
建物も山を崩し作ったのか、斜面上に建っている為、
ここは標高が高いところなのだと推測する。
トンネルを抜けてしばらくするとバスは止まり下ろされる。
砂利で舗装された場所のようだ。
教師の指示により、そこから近くの山道へと歩かされる。
傾斜が酷いが、ここも舗装されている。
しばらく歩くと、大人が3人程居て、
彼等が私達の腕に銀の線をきつめに巻いてくる。
それを外そうにも外せない。
3重に巻かれると腕輪のようになり、
自分達でそれらを外れないように、
しっかりと着けるようにと言われる。
突然、ある者が帰りたいと言い出す。
私同様意識が少なからずあるのだろうか。
すると、連帯責任と言われ、銀の腕輪は重くなる。
ここでは帰りたい、出来ないはタブーのようだ。
地面に押し付けられるような感覚がして、
まるで酔っているかのようで気持ち悪い。
そうして、山道へと進むと大きな門がある。
そこへと通されると、門を閉められる。
私はそこへと幽閉された。
あの日から毎日、1日と変わらずそこの中で、
何かの作業をさせられている。
朝になれば太鼓の音が鳴り響き起こされる。
帰りたい、出来ないを言えば銀の腕輪は重くなり、
気持ち悪くなる。
腹も減らなければ、何の感情もない。
何かの作業をさせられているが何かは分からない。
私達は日に日に増え続けている。
どうか、助けて欲しい。
ここから脱け出そうにも何も出来ない。
私は夢の監獄に監禁されている。
Dream//.prison 影神 @kagegami
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