私が私ならば。きっと、世界を恨むだろう。

如月 りゅうか

「死」

 彼の言う事を止めるものはいない

 どれだけ自身を埋葬したところで、変わらないモノは変わらない

 生きているって、死んでいるって、幻燈の灯火は搔き消えない

 彼はぴょんと空を飛ぶ、そして大きな青空を見上げた、

 だが彼はあのようには 慣れない

 事実の事を言っている

 どれだけ跳ぼうと、生きてももがこうが、変わらない

 河川に小さな石を投げ込むだけに過ぎない、

 ただ、青空にふと弾ける、一瞬の異物に過ぎない

 彼の家族はもういない、

 死のうとしている

 変わってしまったこの人生

 終わる事の無い生をとるくらいなら、死んでしまった方が、と、

 止める、モノは、いない

 それだけ空虚な存在で、烏合の衆の一人、

 変わらない、

 変われない、

 しかたない、

 死のう、



 彼は死んだ、

 翌日に、河川の淵に、遺体となって発見された、

 悲しむモノは、いなかった



 果実の赴くままに、

 申の思い、浮くままに、

 死に、行き、死に、生きて、輪廻を回る

 どれだけの生を繰り返しただろう、

 どれだけ死んだら、気が済むのだろう、

 彼はあの空を見上げ、目の閉じる、

 ──────そしてまた、飛んだ



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 彼は死にいく。

 そしてまた、記憶を残して生き返る。

 とある家庭の子となって。

 育ち、巣立ち、親を殺される。

 毎回毎回。

 どれだけ否定しても、親だけが殺される。

 自殺してもまた、死んでいく。

 恨んだ。

 この生を、この輪廻を。

 ただ回る社会に、自分だけがとりのこされていく。

 変われない。止められない。

 事実。



 彼は死んでいるのだろうか?



 そう問いをかけられるも、答えられなかった。

 またまた、死んでいくだけ。


 変わりようのない、ただも地獄だ。

 死んで、死んで、死んで、死んで……。。

 止められやしない。消えてそのまま死んでいく。

 やはり、悲しむモノはいない。

 だって、彼以外に人は、もう、いないのだから。



 輪廻に囚われるは、彼一人。

 もう空は赤く、土からは煙が上がっていく。

 親など、いない。

 悲しんでくれるものなど、いない。

 赤黒い河川。



 分かった





 ──────今までは全て、幻想だったんだ。



 そして彼は死んだ。

 輪廻は今ここに、おわった。

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