ふとした瞬間に
美雨
Vol.1 悔しい
何もかも全部、私がわるいんだけど。
唯一言えるのは、今日を境に、私はもう元の私には戻れない、ということ。
こうやって、あなたとの間には溝ができていって、いつか取り返しのつかないことになるんだろうってなんとなくわかって、泣きそうだった。
私の決意は、いつも他人を不幸にする。
さよなら。
もう、帰ってきちゃいけないんだよ。当てにできる大人は、本当にいなくなってしまったんだよ。
頼れるのは自分だけ。誰も助けてくれないんだったら、迷惑も心配もかけない。沈黙してやる。
きっと、心の狭い私はまた意地を張って、これから当分あなたの声を聴くことはしないだろう。
我ながら馬鹿。だけど、なんか譲れない。
でも、これであなたとの関係性が変わってしまうのは、紛れもない事実で。
もともと好きじゃないのに、余計自分のことが嫌いになっていく。
全てが元通りになるはずだった今日は、
いつか振り返ったら、決定的に根底が変わった日になってるんだろう。
私という人間が、確かに1回、死んでしまった。
甘えられる場所も、なくなってしまった。
これで私は、強くなったんだろうか。
それとも、またどん底に突き落とされただけなんだろうか。
結局、ものすごい勢いで、最後に全てを搾り取られただけ。
そんな今日という日に、とてつもない喪失感を覚える。
誰にぶつければいいんだろう。
何にぶつければいいんだろう。
私が”大人”になるために、
払わなければならなかった代償は、あまりにも大きかった。
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