第3話【初デート?】
学校に着くと涼介は席に座り、自分の腕を枕にして眠ろうとしていた。
朝からあいつと話すと疲れるなぁ
「おはよ、朝からお疲れだね」
意識が途切れるか途切れないかのギリギリの時に涼介は話しかけられて起きた。
「あぁー、司おはよ」
朝話した凜華の兄であり、涼介の親友である司が涼介の目の前にいた。
「司、お前は相変わらずのイケメンだな」
「ははは、そんなことないよ
それに大学生のナンパから女子高生を救ったどこかの高校生の方がイケメンに思えるけどなぁ…」
司はわざとらしく涼介をチラ見をしながら言った。
「うっ、だ、誰のことだろうな?」
涼介は目を泳がせながら苦笑いをして見せた。
「ホントその人には感謝だよ
僕の妹が世話になったからね」
そう言うと司は涼介の肩を軽く叩いて、席に戻って行った。
「ふぅ…」
司がいなくなると、涼介は顔を机に伏せ目をつぶった。
感謝してると言われたけど、あいつを助けたせいで朝にも絡まれたおかげで、登校する時無駄に注目浴びたんだよなぁ…
朝はいつもと違ったものだったが、それからはいつもと同じものだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
ホームルームが終了すると涼介はすぐに教室から出て下駄箱に向かった。
さてー、今日も1日終わったー、帰りにイヤホン買って帰るか、
イヤホンが壊れてしまったため、涼介は今日1日少し不便な思いをしていた。
だから、すぐにでも買うため、日頃ネットショッピングしかしない涼介だが、駅前のショッピングモールに行く事にした。
そのため少しでも早く行くために下駄箱に向かったのだが、下駄箱には意外な人物がいた。
「せーんぱいっ!」
「あ?」
目の前には昨日ナンパされていた少女ーーー凜華がいた。
「ここで何してんだよ」
涼介はテンション低めで対応した。
「なにって帰るんですよ」
彼女は笑いを浮かべながら答えた
「なら、ここに来る必要ないだろ?」
そう、普通帰るだかならば、下駄箱で待っていることは無いだろう。
ましてや、1年生が2年生の下駄箱にいるというのもおかしいのだ。
「もー、そんなの先輩と一緒に帰るためじゃないですか〜」
彼女は少し恥ずかしそうに下を見ながら言った。
「えっ」
そんな不意な言葉に涼介はドキッとさせられてしまう。
「あれぇ、もしかして先輩照れちゃったんですか?」
彼女はニヤニヤしながら涼介に近づいてきた。
「ちっ、演技かよ、て言うか照れてねぇから」
涼介は意識して無表情を保とうとした。
しかし、実際はどんな表情になっているか分かるはずもなかった。
「もー、そんな顔してぇ
本当は喜んでるってことお見通しなんですからね」
彼女はさらに近づいてきた。
「うっぜぇなぁ」
そう言うと涼介は靴を履き早歩きで学校を出た。
涼介のそんな行動が予想外だったのか、凜華はその場で少しあたふたしていた。
「もー、先輩待ってくださいよぉ」
それから校門までもう少しというところで凜華が走って追いついてきた。
「なんだよ?」
涼介は嫌な顔を隠そうともしなかった。
「なんですかその露骨に嫌そうな顔
さっきから言ってるじゃないですか、一緒に帰ろうって」
彼女は元気いっぱいにそう答えた。
「あー、そーか」
涼介はもう諦めたような顔をした。
「じゃ、一緒に帰りましょ!
逃げようとしても結局、帰る方向ほとんど一緒ですからね!」
そう言うと凜華は涼介の腕にくっつこうとした。
しかし、それはくっつかれそうな方の手で凜華の頭を抑え払い除けた。
「あれ?
先輩そっちは家じゃないですよー」
涼介は校門から出るとすぐに左に行った。
いつもは右に行くのだから凜華の言うことは正しいだろう。
「知ってるわ」
涼介は歩く足を止めずにこたえた。
「じゃー、なんでですかー?
私と一緒に帰ることが嬉しすぎて、道を間違えたと言ったら、この私が先輩にいいことしてあげますよぉ〜」
そんなことを言う凜華は目はニヤついたような目をしており、唇はいつもより艶っぽさを帯びており、凜華のその提案は世の男子を迷わず虜にするものだろう。
涼介はその虜になるはずもなくいつも通りの無表情だった。
「あれ?先輩何も反応無しですか?」
そんな呼び掛けにも涼介は答えない。
それから凜華は涼介の目の前で手を振ったりした。
「おーい、もしもーし、聞こえてますかー?
これは………死にましたね」
凜華は南無三と言わんばかりに手を合わせ答えた。
「いや、勝手に殺してんじゃねぇよ、お前への1番の効果的対処は無視することなんじゃないかと思ってただけだ」
涼介はマジの目をしながらそう答えた。
「いやいやいやいやいやいや、それはやめてくださいよ、それだと私が変なことしてるみたいになるじゃないですか」
「え?違うのか?」
涼介はとぼけた顔をした。
「あぁーもー、分かりましたよ、控えますよ、控えればいいんですよね、
100回から99回のように」
「それ全然控えてないからな!」
無意識のうちに涼介はツッコミをしていた。
「まぁ、それでー話が逸れましたがどこに向かってるんですかー??」
涼介のツッコミを完全に無視した。
やっぱこいつ1発叩いていいかな?
殴っていいかな?
そんなことを思った涼介だが、とりあえず質問には答えた。
「駅前のショッピングモールに行くんだよ、」
「えっ、何をしにですかー??
まさか、先輩1人でタピオカとか飲みに行こうとしてたんですか?」
彼女は半分笑っていた。
「違ぇよ、あんな、集合体恐怖症ドリンクなんて飲まないから、ただイヤホン買いに行くだけだよ」
「先輩タピオカのその表現は全国の女子高生とかタピオカ好きが聞いたら先輩のこと殺しに来ると思いますよ……」
凜華はどこか遠いものを見るような目で言ってみせた。
「また、俺を殺すんじゃねぇよ、第一俺の主観なんだから、他のやつがどう思おうと関係ないだろ」
「確かにそうですが、世の中そんな甘くないんですよ、世の中の信者を舐めない方がいいですよ
犯罪だって厭わない人だっていますよ」
涼介が言ってることも正しいが凜華の言ってることも正しい、
世の中には色んな人がいるから…
だが、まぁ、そんなことは今の2人に関係はない。
「とりあえず、私も先輩に着いて行きますからね!
先輩とモールデートですね!」
またしても凜華はニヤニヤしていた。
「はぁ……デートじゃねぇからな、」
涼介は完全敗北したような感じであった。
「じゃ、決まりです!
こんな可愛い後輩とデート出来ることを誇りに思い一生の思い出にして、死んで行くといいですよ」
「だから、デートじゃないから、つか、お前と出かけることそんな墓場まで持っていくような事じゃないから!」
涼介はまたしてもツッコミをしていた。
でも、そんな涼介の表情は少し嬉しそうであった。
きっと涼介は無意識のうちに凜華といることが楽しいと思ったのだろう。
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