俺は何にも悪い事していないけど、お前一体何なの?
東雲三日月
第1話俺は何にも悪い事していないけど、お前一体何なの?
「俺、ゲームすんの辞めるわ!」
「……みぅ……辞めんの?何で……」
「お金かかるしね、勿体ないじゃん!」
「……そうなの?本当にもうやんないの?」
「やんない! これからは小説書く事にするよ!」
ある日、私の大好きな人が、突然ゲームをするのを辞めてしまった。あんなにもゲームばかりしていたのに……。
私自身、毎日忙しくてあまり一緒に遊んでいなかったけど、本当は一緒にゲームして遊びたかった。もうやらないって宣言したから、彼と一緒に遊ぶ事は出来ない。
これからは、彼は他の事をするらしい。でも、たったそれだけの事なのに、何だかとても寂しい気持ちになった。
「……あれ、何してるの?」
「ツイッターだよ!」
「……そうなんだ!……」
「何でやってるの?」
「小説の宣伝のためにだよ!」
いつの間にか、別の事も始めていた。私には、知りもしない、全くよく分からない世界だった。
小説をやりだしたんだもんね。頭ん中では理解はできる。読んで貰うためには必要なんだもんね。
でも、彼が、どんどん私から離れて行く……どんどん遠くへ行ってしまう。そんな気がして、胸が締め付けられ、苦しくなって、私は一人隠れて沢山泣いた。
隣にいる彼の袖を掴む……
「……きゅう……つまんないよ……」
「なら、好きな事すればいいじゃん!」
「好きな事何にも無いんだよね。 一緒に遊びたかったのにな! どんどん遠くへ行っちゃう気がする……何だか寂しいな!」
「何それ、ずーっと一緒にいるよ!」
「それはわかってるけど……」
……数分後……
「ねぇー、ねぇー、つまんない!」
「好きな事すればいいじゃんか……」
「……だって……!」
「なら、俺に小説書くの辞めろって言ってるの? ゲームしてお金かかるけど良いの?」
「ごめん……」
……数日後……
小説なんて書けないけど、書くことにした。だって一緒の事がしたかったから。大好きすぎるんだもん! 一緒にゲーム出来ないなら、私だって小説書くしかないよね。才能何か何にも無いけどさ、人間出来ない事何かないよね。
ツイッターも教えて貰って始めてみることにした。だってつまんないもん! 大好きな人が、どんどん遠くへ行ってしまう気がするのが辛すぎた。
ずーっと一緒に居たいって、そんな考え方がおかしいのかもしれないけど、依存してるからかな! ごめんね。でも、同じ事がしたかったんだよね。
彼と 同じ事をして、同じ趣味を持てば、彼と同じ会話ができて、心の何処かで、大好きな彼に少しでも近づけるような気がしていた。
……一週間後……
彼はいつも通り、イヤホンをして、音楽を聴きながら私の隣で小説を書いている。邪魔をしたらいけないから、彼に話しかけたりしないようにして、私も静かに隣で小説を書く。
でも、彼と同じように小説を書いているけれど、何故か無言の空間が寂しかった。私の心は苦しかった。彼は私の隣にいるのに、私は寂しさに押し潰されそうになっていた。それに耐えるのが必死だった。
声をかけてはいけない!そう思ってるのに、寂しすぎて、気づいたら、つい声をかけてしまっていた。
「私、一緒に居ない方が良いよね。別の部屋に行こうかな……つまんない……」
一緒の空間に居たいのに、私は一体何を言ってるんだろう……。自分にイラついた!言ってしまってからでは、後戻りが出来ない。心の中で思ってるだけで我慢すべき事何のに。
「やっぱり、やって欲しくないんだね!」
彼に目を向けると、物凄く怒っていた。
「ごめんなさい。そんなんじゃない!」
もう、訳がわからなくなっていた。私が言った一言が原因だ! 気付かず言ってしまう程なのだから、其れが本音であるだろう事は間違いなかった。言い訳何かされても困るだろうけど、それなのに、言い訳をする私がいた。
……一ヶ月後……
この生活に中々慣れずにいた。彼はずーっと小説を書いている。休みの日は家で書き、仕事の日は職場で空いた時間に書いている。
ツイッター仲間だってどんどん増えているらしい。私は全く増えもしないけど、彼のフォロワーは、私の何倍もいる。
彼と同じ話がしたくて、小説もツイッターも初めて見たけど、同じ会話なんて全然なかった。
彼は小説の事はツイッター仲間と会話しているらしい。教えて貰ったからだけど、彼は小説仲間と個人的にメールで会話している事を知った。
其れは、仕方の無い事だった。私なんかじゃ意味が無いから。
そんな事分かっていても、何だか寂しい気持ちが増した。日に日に増していく感じがして、そんな自分が物凄く嫌だった。
死んでしまいたい気持ちになる程、自分で自分を追い詰めていた……。
……三か月後……
彼が個人的に会話してる人に、欲しいものリストから贈り物をした事を知ってしまった。彼が話してくれたから、私が知る事になったんだけど、出来れば知りたくなかった。
私より年下の女の子に送っていたのだ。感謝の気持ちらしいけど、私はそうは受け取れなかった。絶対、彼は彼女に好意があるとしか思えなかった。
「もう、して欲しくないな!」そう伝える。
「わかった。次はしないよ!」そう答えた。
何だか不安な気持ちになって、悲しくなって、自分を抑えらんなくなって自分の腕をひたすら引っ掻いた!
私、おかしいのかな! ヤバい奴かもしれない。そう思えたけど、彼が好きすぎるから、離れたりしなかった。彼は、こんな奴、離れても良いと思っていたかもしれないのに……。
……半年後……
あの日の出来事は、忘れていない!
嫌だった思い出って消えないんだなって実感している。
彼はあの日以来、ゲームは全くしていない。私の隣でずーっと小説を書いて、毎日投稿までしている。
私は全然投稿すらしてないし、たまにしか書いていないけど、一応続けている。
それなのに、私は、彼と同じ事をしているはずなのに、寂しい気持ちは、全く消えることがなかった。
其れは、私が彼に依存しすぎているからだろう。私は、彼との距離を保つために、心の中で、我慢も大事なんだって思うようにしている。
だから、耳掻きしてってお願いされたら、絶対してあげる! 彼のために何でもしてあげる! 其れが私の生き甲斐になっているから。
でも、裏切りは突然やってきた!
彼はまた、彼女に贈り物をしていた。
たまたま見てはいけないスマホを見て知ってしまったのだ!もう死にたくなった。
スマホ何か、勝手に見るもんじゃない! 良い事何かないんだから。それなのに、見てしまった自分がいけない事は、凄くわかっていた。分かっていたけど、彼を責めてしまった。
「感謝の気持ちであげたんだ。お世話になった人だったから、お歳暮みたいなもんだよ」
彼はサラッと一言私に言った。
私には理解出来なかった。やっぱり彼女が好きなんだ! 絶対私より大事な人なんだ! そう思った。
私の精神状態はおかしくなり、また自分の腕を引っ掻いた! やってはいけないと分かっていても止まらなかった。止められなかった。ついでに何故か涙が止まらなかった。
「ごめん! 嫌ならもうしないよ!」
彼は謝ってくれた。それでも、私は彼を責めてしまった。そのせいで、彼に凄く怒られた。
「俺は何も悪い事はしていない! 悪い事をしたとは思っていない! こっちは謝っている。それなのに責めてくる。怒りすぎ! 怒る人は嫌い」
私がおかしいのだろう。彼とは、仲良くなりたかった! それを望んではいけない事なのは分かっている。
「ごめんなさい! 怒ってごめんなさい!」
大好きな人とずーっと一緒にに居たいから、私は何故か必死で謝った。
一体私は何なのだろう……。
もっと大人になりたいです。
俺は何にも悪い事していないけど、お前一体何なの? 東雲三日月 @taikorin
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