時が満ちる世界-word of world-
久遠文嶺
プロローグ
『世界はとても憎しみと愛が溢れている』
以前の世界の姿は、言葉にすれば非常に単純な世界だった。人を愛し人を裏切り殺しまた人を愛し・・・を繰り返す世界。やがて繰り返す中で人は人を愛することを忘れ、憎しみだけで人を殺める時代に突入した。もう誰もが正気というストッパーを外して蹂躙し始めた。世界の地が赤く染まり血の地層が出来上がってしまうほどに。ようやく世界にいた人が制止したのは繰り返す世界から数えて五百年ぐらい経過していた。必然的に世界人口も最も少ない状態にもなっていた。そして、今現在の世界は二つの顔を持つようになった。
-全てが肯定され真っ白な世界-
-全ての事柄が虚偽で埋められた真っ黒な世界-
なぜこのような世界が出来上がったのかは分からない。進化論を発信し続ける研究者たちは新たに【属性】という言葉を口に出した。二つの顔を持つ世界で暮らす以上【属性】は切っても切れない人のステータス=情報であると説く者も現れた。真っ白な世界は『光』、真っ黒な世界は『闇』と・・・奇しくもその世界に住んでいる者たちはその事に関しては争う姿勢もなく自然に受け入れた。
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