of the Deadは突然に

結城彼方

of the Deadは突然に

 その日、世界の主要国でゾンビが発生した。しかし、各国はゾンビになった人間の増加を押さえ込むことに成功した。


 世界が安堵したその時、インターネット上に、各地のゾンビ騒動を起こしたのは自分達だと名乗る団体の代表が現れ、犯行声明を出した。要求はただ1つ。1週間後、ロシアを含むG8の各国代表と会談すること。断った場合、今回以上の騒動を起こすと脅しも付け加えられていた。


 団体名は『ガイア』。地球は1つの生命体であると考え、その地球に対する人間の活動そのものが地球に対する虐待である。という理念の下、代表者アダムと共に過激な活動を続けている環境保護団体だ。


 G8各国はアダムと名乗るその男を、1週間探し続けたが、結局見つからずに期日を迎えた。会談は、アダムに指定されたホテルの一室で行われる事になっていた。事前にセキュリティチェックがなされ、各国代表が部屋に入る。部屋の中には円卓が用意されており、それぞれ到着順に座っていった。G8各国の代表が全員席に着き、しばらくすると、アダムが入室して来て言った。


「皆さん。本日は来てくださってありがとうございます。」


アダムの挨拶を聞いた各国代表からは質問が飛び交った。『何が目的だ?』『要求はなんだ?』『次は何をするつもりだ?』等々。そんな各国代表の言葉に、アダムは落ち着いて答えた。


「まず、今日来てもらった目的は、皆さんとの会談です。交渉ではありません。ご存知にの様に、我々の団体は人間の存在そのものが『悪』だと考えております。その為、最終的には人類の滅亡を目的としております。そして今回、皆さまに来てもらった目的はもう1つあります。それは人類滅亡開始への同席です。」


アダムの言葉に、各国代表はざわついた。それを無視してアダムは続ける。


「先日起きたゾンビ騒動は、ご存知の通り、我々が起こしました。何故なら必要だったからです。陽動としてね。世界中がゾンビ騒動に注力してる間に、我々は次なる行動を起こしていました。それは水道局への侵入です。そして、全国の飲料水に我々が開発したゾンビ化ウィルス『イヴ』を混入させました。発症までの潜伏期間は約1週間。人類は全員ゾンビと化し、いずれは食べる人間がいなくなって絶滅することでしょう。そう。我々の目的は既に達成しているのです。」


予想外の事態に各国代表が絶句していると、部屋の外からSPが飛び込んできて言った。


「大変です。世界中でゾンビが発生し、大混乱しています。」


アダムはそれを聞いてクスリと笑ってから言った。






「さあ。一緒に世界の終わりを堪能ましょう。」

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of the Deadは突然に 結城彼方 @yukikanata001

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