第17章 新しい時代と別れ

第159話新総帥

アインシュタインの脳内チップ機能とトール元帥の死により召喚された異能者達も元に戻った。

混乱と喜びと渦巻く政府機関内。


俺達は一先ず飯を食い何とか体力を回復。すぐ様寝たい所だけど・・。


今日中に社長に新総帥(仮)としての世界放送を行って貰う事にした。

マフィアにバレる前にって奴だ。


世界放送を行うテレビ局の様なセットは21階にあった。

元々、年始挨拶等が元帥に寄って行われていたらしい。


ニュースの現場とも少し違うな。このスタジオは総理とか大統領とかが放送する感じのセット。

ジ・パングの国旗?らしきものが壁に掲げられていて記者会見出来る様な机とマイクにテレビカメラ3台。


「やっぱりやるのよね?」

社長はまだちょっとやりたくなさそうな顔で溜息をついた。


「本当に大丈夫なのかしら?」

ブツブツ言いつつもスタンバイ。


カメラマンは勿論、俺達で。

ハーミット様とリョウとレイがカメラマン。

ディレクターっぽい事はボスが行う。


「世界放送は今日、何度か流す様に録画するから。」

ハーミット様は機械関係は何でも強い。見ただけでカメラも操作するし放送に関しても直ぐに準備が出来た。


「固くならずに普段の社長で良いよ。異能は忘れずにね?」

ボスが笑顔で緊張した顔の社長に呼び掛けた。

社長は深呼吸してニッコリと微笑んだ。


3・2・1・・・


「皆様、初めまして。」

社長は微笑んだ。


――カリスマ――


「突然ですが本日、この世界の総帥、アインシュタインが崩御されました。」


社長は淡々と世界へ発信していく。

アインシュタインは病死と言う事にした。


「私はヴァレンティノと申します。総帥の実子です。本日より跡を継ぎ政府機関を纏めて行きたいと思っております。」


普段の社長からするとちょっと固い。でも、このくらい真面目な方が国民ウケは良いのかな。


ボスはそんな社長を見てニヤっと笑って後は好きにどうぞっと促した。


「さて、お堅い話はこのくらいにして。」

社長はうふふっと微笑んだ。


「今後、私達政府は異世界人の召喚は行いません。この世界の異能者の平和を約束するわ。そして、同性婚を認めようと思うの!」


あーあ。言っちゃった。

俺達は笑いを堪えるのに必死。


「大丈夫よ。国民の皆様も心配ないわ。大丈夫。この世界は平和になるから。」


カリスマの異能は効いたのかな。


これから。


皆で頑張って行かなきゃね。



放送が終わって漸く仕事終了。

ミッション完了。



「世界に散ってる生き残りの政府と警察の脳内チップ入ってた奴らは集合かけたから。希望者は帰還させて行こうと思うよ。まあ、明日からかな?」

ユウヤは暫く忙しい日々を送る事になりそうだ。

「お前達の帰還は後回し。日に5人の帰還が俺の異能の限界。」

リョウ、リュート、オーガ、海誠先生は一緒に戻る。


この世界が落ち着くのを待ってから。



機能は失ったが脳内チップを抜く作業にヴェガと俺はこれから日々を費やすことになりそうだし。


毎日、疲れそう。


今後の事も考えてジ・パングに引越しもする。



本日は政府庁舎にお泊まり。


会議室にて祝賀会。


「美味いな。」

政府お抱えの料理人の飯が美味い。


「あのー。ユウヤ?ちょっと聞きたかった事が。」

ミッションが終わって盛り上がっている最中だったがどうしても気になっていた。


「俺の異能が・・・その?何で解ったんですか?」

俺自身にも解らなかった記憶を辿る力。


「あー。遺伝してるかな?って思って。」

ん?全員がユウヤを見詰めた。


「君のお父さんってシュウだろ?お母さんはアコ。」


えっ?


「えっと。秀一郎と亜子ですが。え??」

まさか?


え?まじか?


「うん。俺は会った事ないけど?昔、この世界に召喚されて居たらしいよ。」


「はぁー??!」

思わず立ち上がった。


ちょっとそれ何?親父が?お袋が?

聞いてない・・・。


半笑いでユウヤを見詰めた。


「まじだよ?」

ユウヤはクスクスと笑いながら美味そうにステーキを頬張った。


「聞きたい?」

いや聞きたいだろ。


「俺も聞きたい!」

ウェンが前のめりにユウヤに問い詰める様に見た。


勿論、全員。


ユウヤは悪そうな顔をして語り出した。

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