第127話リョウのバトルと・・・飛んで火に入る夏の虫
漁港を出て直ぐに偵察異能で敵は見つかった。
イデクトって奴やなあ。
問題は限界突破ってやつ。
もうなあ、俺は散々特訓してきてんねん。危険な目にも合って来たし。
強いて言うなら『嘘』に関する以外の攻撃系の異能は欲しいなあ。
強い奴ならチャンスはある。
そんなん考えていたらイデクトを追い詰めた。
「クソ!何者だ!!」
「うーん?雇われたねん。お前はイデクトやなあ?」
奴は無言で睨みつけて仕掛けて来た。
蹴り、拳、蹴り、飛び蹴り・・。全部見えてるっちゅーねん。
こいつハズレや。
そやね!情報提供でもして貰お!
――
「さあ、喋ってもらうで。嘘はつけへんよ?」
「何しにこの島に来たん?」
答える気無さそうな顔してた奴は驚いた表情でポロっと吐いた。
「この島に新しいダークネスのアジトを作るため。」
あー。やっぱりなあ。そやないとこんな島選ばんわ。
この島に4人とこの前処刑された奴2人やな?他は?
「残党は全部で何人?」
イデクトは耐えている様子だったがやはり抗えず。
「10人。」
と答えた。
「ダークネスのボスは死んだな?今、1番強いのは?」
と尋ねると「イルーズ」と答えた。
なるほど。この前、獣人化した奴やね。
親切に政府に捕まって処刑された事を話すとショックを露にした。
後、この島以外に4人居るのは面倒やけど。イルーズが1番強いんやったら大丈夫か。
って、考えていると猛ダッシュで逃げ出したし。
もう、鬼ごっことか勘弁してやぁ。
追い掛けると海岸に出た。
そして、奴は見事に結界にぶち当たって倒れた。
「何だ!!壁?!シールド?」
結界をバシバシと殴り付けるイデクト。
「ほらほら。逃げられへんちゅーねん!」
結界攻撃したらミナキがキツがってんやろなあ。
まあ、俺の嘘付けない空間って結界みたいな束縛能力ないからなあ。
じゃ!殺るか!
結界への攻撃をするイデクトへ蹴りを入れて吹っ飛ばした。
「注意力散漫や。」
嘘が付けないだけか・・。
後は体術やねんなあ。
自信はあるけど。
同じSランクとのバトルは正直・・しんどい。
「ちくしょう!!」
イデクトは距離を取り構えた。
異能攻撃か。
海岸の砂が舞い上がった。
風か!ありガチやな!
足が速いのは納得やで。
砂と共に風圧と鎌鼬。
剣を抜き受け止める。
「剣で受け止めた?!」
そんなビビった顔されても困るで。
「残念やなあ?」
レベルが違うんよ。俺、Sランクやで?
背後に回っても良かったんやけど敢えての正面。
相手の懐に入り込み・・・。
刺した。
「ガハッ!!!」
イデクトの口から鮮血が溢れる。
「おおっと!返り血嫌いや。」
後ろに飛び退いた。
そやね。やっぱ殺るなら背後やね。
そのままイデクトは前のめりに倒れ動かなくなった。
「あかん。俺、何も進歩してへんわ!!」
もうちょい強い相手でないとなあ。
って!?この気配!!
急いで偵察異能を発動する。
「ミナキ!あーちゃー!彼奴ら何で来たん?」
漁港へ急がな!!
・・・・・・・・・・・・
結界への攻撃が収まったが漁港に1隻の船が到着した。自動操縦なのか自ら操縦して来たのか乗って居るのは2人だと解った。
「げっ!ヤバいじゃん。」
もう知っているから気配で解る。
船から降りて来たのはオーガとリュート。
「カプリス?お前達か?この島を占領しようって言うマフィアって?」
オーガが結界を挟んで俺の前に立った。
「2日前にこの島の人から通報があったんだよね。知らない住民が廃墟に住み着いて居るって。」
リュートはオーガの横に立ちそう言った。
「俺達は金で雇われてダークネスの残党を殺しに来たんだよ。」
結界は抜かりなく。
まだ、鉄壁を張る力もある。
「ダークネス?あー。プエル・トリコのか。」
「どうする?カプリスも捕まえて帰ろうか?」
目の前で話し合い出す2人。
舐められてると言えばそうだ。
いや、これはチャンス?
逆に捕らえる事が出来たら拉致の手間が省けるのでは?!
考えろー!呼ぶ?エルーカさんとバニラさん!
そうするか!
「カプリスのフール君。仲間は?」
そう聞きながらリュートが結界に蹴りを入れた。
結界はバチッ!!と音を立て防ぐが広範囲過ぎて直ぐに破壊されそう。
相変わらず馬鹿力だ。
「居るよ。呼ぼうか?」
電話を取り出しニヤっと微笑む。
「呼ばなきゃ弱いもんなぁ?」
オーガが小馬鹿にした様に笑った。
ムカつく・・。笑ってろよ!
「もしもし!今すぐアト・ランティスへ。オーガとリュートが居るんだ!」
エルーカさんは驚いて居たが。
多分、直ぐに転移してくるだろう。
偵察・・・。リョウが間もなく到着。
他の皆も戦闘終了。
「おい!フール!」
――
オーガの異能発動により四神結界が破壊され始める。
やっぱりこの異能は必要だよね。
四神戻れ!
結界は破壊されなければ俺に身体的ダメージは少ない。
「殺る気か?」
オーガがクスッと笑った。
「知ってる?飛んで火に入る夏の虫って言葉。」
2人相手に殺れるとは思って居ない。
でも、殺るんじゃない。捕らえるんだよね。
原理はこの前、獣人の女性の時と同じ。
「は?何、言ってんだ?」
オーガが剣を抜いた瞬間、左右からリョウとウェンが駆け付けた。
――
オーガ、リュート捕獲。
「無事?!」
ウェンは俺の前に出て庇う様に構えた。
「うん。捕まえた。」
俺にもやっぱり出来る事ある。
それが嬉しい。
「お待たせ。」
「連絡ありがとう。」
背後からエルーカさんとバニラさんの声。
そして、シアンとラズも到着。
鉄壁を何とかして破壊しようとしていた2人の動きが止まった。
「まじかよ・・・。」
「あの2人って!?この前オーガが!!」
トラウマになっているのか嬉しいのかオーガとリュートの顔は明らかに赤面していた。
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