第92話その頃のハーミット様達

さて。どうしようか。


あの漫画家さんの事を考えたらオーガとリュートは殺しちゃダメ?だよねー。

と言っても殺すには結構時間かかるだろうな。

俺は体力無いしー。


「さあ!やるか!」

バックスレーはリュートとバトル。同じ身体強化タイプだし。

バックスレーは元々強いしレベルアップしたから楽に勝てるだろう。



「ハーミット!!!お前の相手はオーガ様だよ!!」

来た。馬鹿って疲れる・・・。


「あら?貴方の相手は私達よ?」

「御不満かしら?」

エルーカとバニラが珍しい。

2人も異能者の裏情報を見て色々考えてくれてたみたいだもんなあ。


「はー?俺はハーミットと!!」

オーガはキレ気味だけど。


本当に珍しい・・。普段は嫌がってやらないのに。

すっとエルーカがオーガに近付く。

もう異能発動してるな。オーガの動きが止まった。


エルーカはスリットの入ったドレスから出た脚を大胆に見せてオーガの顎をクイっとやった。


――誘惑テンプテーション――


「えっ!?」

オーガ・・良かったなあ。


異能破棄は自分への攻撃を無効にする。

でもそれは攻撃と身体が見なさないんだろうね?

エッチが攻撃と身体が反応し無くて良かったねぇ。そうでないと悲しい人生だ。


ポーっと頬を赤らめて触られるがままのオーガ君。もう逆らえない。ただ気持ち良いだけ。感度も数倍に上がるらしい。


――美人局つつもたせ――

バニラもエルーカと同系列の技を使える。


ジャンルは2人とも男性をメロメロ誘惑系。

男が好きな奴には効果無いからこの世界生まれの異能者には全く向いて無い。


でも、ノーマルな異世界人には恐ろしい効果を発揮するんだよね。


「あら?ここも弱いのね?」

エルーカの指1本。胸をちょっと触られてオーガは腰を抜かした。

「何処でも敏感ね?」

バニラも負けてない。耳に息を吹きかけている。

あー。もうすぐ堕ちるな。


いやー。若いって良いなあ。

オーガはもう立ち上がれないでいた。


一方、バックスレーと対峙したリュートはその様子を羨ましそうに見た瞬間に腹に拳を入れられて見事に気絶していた。

こちらは気の毒だったな。


さてと。

階段で見ていた漫画家先生の元へ降りた。


「戦うフリして。」

耳元で小声でそう言うと彼は剣を抜いた。


「シアンは捕らえた。まだ元には戻っていないけれど。感謝する。」

バトルのフリをしながらボソボソと囁いた。

「良かったです。本当に良かった。」

必死で剣を振るう。弱いけど本当に良い奴みたいだな。


「後は逃げるから。漫画家さんは気絶したフリでもしといて。」

「了解です。」

そう言ったけど気になるのか話をしてくる。


「あの、女性が使った異能って!?」

「あー。誘惑系だね。オーガ君は幸せな気分でイって気絶しちゃうと思うよ。」

この漫画家さんはやっぱりノーマルなんだろう。ちょっと嬉しそうだし。

漫画に描きたい?

OKと勝手に許可しておいた。

うけるー。


「じゃ。気絶して。」

拳を入れたフリをすると漫画家さんは倒れた。

はい。終了。


階段を上ると予定通り。

オーガは幸せそうに昇天していた。


「若いし経験無かったのかしら?効果抜群だったわね。」

「うん。気絶も早かったしね。」

エルーカとバニラの感想を聞くと気の毒になるが。

オーガが若くて可愛いからやってくれたんだろうな。おっさん相手に2人はこの技は使おうとしないし・・・。


「奥へ行こうか。」

Sランク異能者は誰が来ているんだろう。


10人のSランク異能者の裏情報は全て記憶済みだ。


皆、それぞれにウィークポイントがある。

性格だったり異能だったり。体術が弱かったりとか。

でも、やっぱりSランクは別格なんだろうなあ。


危険察知で様子を伺いながら歩く。


変だな。


戦闘しているのはヴェガとジハードとマフィア。


Sランク異能者は見てるだけ。


「Sランク異能者は嘘発見器だ。」

ボソッと皆に伝えた。

あー。あいつか!!と皆も思い出した様子。


そう。普段から嘘を100%見抜く諜報部員。


俺は苦手かも。

考えて話さないと。


嘘が嫌いで短気。後は?


そうだ。彼自身も自分の空間では嘘が付けないんだった。


廊下の角を曲がると異能空間が出来ていた。

ジェームズ・エンバスターは死んでいる?みたいだな。良かった。


Sランク異能者は間違い無い。リョウ・キタタツミ。

目が合うと「しー!!」

と口に手を当てて静かにしろと言う動作をする。そして止まれと指示された。


このバトルに手を出すなという事か。


何を考えて殺らせている?

仕方ない。異能空間手前で立ち止まりヴェガ達のバトルを見学する事にした。

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