第31話裏競売

タンタン!木槌が叩かれる。

「ではこちらの真珠、乙女の涙は2000万シェルで落札。」

何かこう言うのドラマとかで見た事あるなあ。競売って本当にこんな感じなのか。

2000万シェルは2000万円?解らん。貨幣価値が不明過ぎる。


「続いて本日のメイン商品。博物館展示品のピジョンブランに移ります。」

会場内では拍手が起こった。


「さーて。いくらになるかねー。」

ボスはニヤっと笑った。

俺達の戦利品だ。


「2000万!!」

「3000万!!!」

もうさっきの真珠を軽く超えた。

「5000万!」

おぉーと落胆と歓喜の声が入り交じる。


「もう一押しいかねーかなあ。」

ラズが隣でそれでも満足そうな笑いを浮かべている。


「6500万!!」

上がった!俺も何だかワクワク。

「8000万だ。」

「1億シェル。」

会場は静まり返った。


タンタン!

「1億シェルにて落札です。」

すげー!1億?!円ならかなりの額だぞ。


「いったねー。」

ボスはフフっと笑い満更でもなさそうだ。

多分、結構な高額。俺も金持ち!!頑張った甲斐があった。


その後のサファイア5000万シェル。ダイヤモンドは8000万シェルで落札された。

合計1億3000万シェル。

テンション上がる。


結構その後は宝石だけでなく絵画や彫刻、何か有名女優の私物?(勿論、盗品)とかも出品されていた。

バラエティに飛んでいる。


タンタン!本日の競売は終了致します。

そしてまたジェイムズさんが挨拶に出てきた。


「さて。次回、競売のメインは政府管轄国家、西アン・デスの遺跡に眠る王家の金印がそろそろ欲しいですね。」

何方か行かれませんか?と呼びかけているが会場は静まり返っていた。


「まあ、無理もないですがね。過去2回失敗されてますし。猶予を3ヶ月与えます。チャレンジされるファミリーがあれば名乗り出て下さい。」

後は・・・。

と幾つか希望品を上げていた。


ボスの方をチラッと見ると少し考え事をしている様だ。


俺の記憶だと政府管轄国家って結構ヤバい国。そしてカプリスは行く筈だ。

金印は・・盗めなかった。主役は政府と警察だしと思って読んでいたが惜しくもって感じで撤退したと思う。


やっぱり行くのかな・・・。


競売が終了し帰ろうとした時にシアンは何やら依頼?で捕まっていた。

これが個人的依頼ってやつか。


シアンを待っている所にジェイムズさんが挨拶にやって来た。


「やあ、カプリスの諸君。今回はありがとうございました。」

腹黒そうな笑いを浮かべるジェイムズさんにボスは丁寧に応対している。


「殺人鬼シアンをメンバーに加えたんですね?そして?彼は?」

ジェイムズさんは俺の方をチラリと見た。


「彼も新メンバーです。」

ボスはそれ以上は聞くなと言う雰囲気を出してそれ以上は答えなかった。


「まあ、メンバーが増える事は良い事です。やりませんか?西アン・デスの遺跡。」

不敵な笑みを浮かべて彼はボスを見た。


「彼処は政府管轄国家。侵入すら難しいでしょう?ハイリスク。しかし・・。少しは興味がありますよ?」


大人のやり取りと言うか腹の探り合い。


「良いお返事をお待ちしてますよ。では。」

ジェイムズさんはフフっと笑って去っていかれた。


「ごめんよ。お待たせ。」

シアンは契約成立したのか嬉しそうに戻って来た。


「帰るか。」

ボスに促されエンバスター家を出る。


バスに乗り込み漸く落ち着いた。雰囲気で疲れたよ。


「シアン。何の依頼だ?」

ボスが聞くと

「殺しに決まっているじゃないか。でも、1人じゃちょっと難しそうなんだよね?」

と少しばかり苦笑い。


「アジトに戻ってゆっくり聞くから説明しろ。西アン・デスの件も少し話し合う。」

ボスに言われてハーミット様が


「2つのマフィアが失敗している所に行くの?覗いて見たい国ではあるんだけどねえ。」

と溜息をついていた。

「誰しも興味はあるさ。俺もある。」

ラズがそう言うと皆、頷いていた。


解って居ないのは俺だけっぽい。


程なくしてアジトへ到着。

着いた時はもう日は落ちていた。


「飯でも食いながら話すか。」

そう言われて今日も冷食が準備される。


ダイニングテーブルとソファに分かれて座り食事&会議が始まった。


「先ずはシアン。詳しく聞きたい。」

ボスがそう言うとモグモグと食べながらシアンが話し始めた。


「ある金持ちが愛人と愛人の子を国外に逃がしたいらしいんだよね。跡継ぎ問題になっているらしくて。」


それで、ボディーガードしながら国外逃亡させてその間に襲ってくる雇われマフィアを殺せって内容。


シアンは飲み物をグイッと飲んで

「1人じゃちょっと面倒かな?殺しは楽勝でもボディーガードがね。」


襲ってくる奴らが沢山で楽しそうだから是非やりたいと言っている。


「後、最低1人居たら何とかなるのか?」

ボスに言われそうだね。と頷いた。


「解った。ちょっと考える。」



ボスはシアンの話を保留にして西アン・デスの話に切り替えた。


「ミナキに先ずはその国の事を話さないとね。」

ボスや皆が知っている情報を話し始めた。


政府管轄国家って言うのは元々はそうでは無かったそうだ。

10年ほど前にジ・パングへの反抗テロの失敗からの植民地化。


今は国民と政府関係者と警察上層部しか入国すら出来ない。

国の内情不明。


「はい!!質問です。本当にお宝はあるんですか?政府管轄国家なのに。」

あるんだろうけれど。そんな国の情勢を聞くと疑いたくなる。


「あるんだよ。これが。何故だと思う?」

ボスがニヤリと笑った。


俺は解らないと答える。


「金印を欲しがる輩は多くてね。競売価値は開始10億シェルだ。いくらになるかな?」

ジハードもそう言ってニヤっと笑った。


「金印はマフィアを誘き出す罠。」


罠・・・。


「無いと直ぐに噂は広まるからね。マフィアは規模がデカいから全員出動しないし。」

カプリスくらいだよ全員出動ってとボスはゲラゲラと笑った。


「罠と解って飛び込むのか。」

俺が溜息をつくとボス以外にもゲラゲラと笑い出す。

全く、困った人達だ。


「但し条件がある。全員の異能力アップ。特にミナキ。」

ボスに言われて顔が固まった。

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