第4章 新生活

第25話新生活の始まり

今、何時?

起きるとウェンが居ない。もう起きたのかな?

おぉ。身体が回復しているのが解る。

まだちょっと眠いけど。


部屋を出るとボスとウェンが話していた。

「おはよーございます。」


「おはよう!」

ボス、朝から元気だなあ。


良し、昨日やろうと思ってた事やろう。

洗濯に皿洗い!


「元気だねぇ。」

「これ起きたらやろうと思っていたんで!」

良かった。高校までは何もやって来なかったけれど卒業してフリーターになってから家事やらされて来たお陰でソコソコは出来る。

洗濯機かけてその間に皿洗ってと。


「俺も手伝う。」

ウェンが隣に来た。何か嬉しい。


「今日さあ。自由って言ったんだけど。スーツとか買いに行ってくれる?明日の競売はラフな格好では会場に入れないんだ。」

ボスに言われて頷いた。

そっか。競売ってどんな感じなんだろ?裏競売らしいし。怖い人だらけかな・・。


「後、アルージャが偽造の国民カードとパスポート作ってくれているからついでに通帳作って携帯も買ってきな。」


「まじっすか?偽造・・・。」

またヤバそうな単語だな。


「俺達も皆、偽造。」

サラッと横のウェンが言った。そうなのか。

「仕方ないよ。政府に逆らって生きている異能者だからね?」

ボスが言うのも何となく理解した。

ハーミット様が作ったのならバレないだろうなあ。


「何か食べる?」

皿も洗い終わったのでウェンに聞く。

って何かあるのかな?


「家においで。」

ボスの部屋?


「アジトのご飯は基本誰が食べても良いけど昨日、食べ尽くしたからねぇ。」

ボスは苦笑した。そうか、確かに。


ボスの部屋か!ワクワク!後でウェンの部屋にも行きたいなあ。


アジトを出て直ぐ向かい側がボスの部屋。


部屋の鍵が開けられて中へ入る。

部屋の作りはアジトと同じで少し狭いかな。

家具はモノトーン。そしてシンプル。

「お洒落ー!!」

思わずそう言ってしまう。リビングにはデカいテレビにオーディオセット。

囲む様な黒いソファ。メンバー全員座れそう。


「何が良い?」

ダイニングテーブルへ座るように促される。

「何でも大丈夫です。」

「同じく。」


了解。ボスはキッチンに向かった。

トーストと珈琲が出てきた。

この家で食べるとお洒落感が増す!


「今朝買った食パンだから美味いよ。」

朝から買いに行くとは元気だなあ。

サクサクに焼かれた食パンにバター塗って食べる。

「美味いです。」

本当に。中フワフワだし。


「本当に食べて寝たら身体回復しました。異能者って皆そうなんですか?」

そう聞くと

「そうだね。傷の治りも一般人より数倍、早いし。」

何とも強靭な身体なんだなあ。


「お昼ご飯も食べるだろうし今はこのくらいで良いかな?」

「ありがとうございます。」

ペロリと食べてしまった。

珈琲が良い香り。


「所でどうする?アジトに住む?ウェンの部屋に住む?」

ぶはァ!!

「ゴホッゴホッ!す・・すみません!」

「ボス、直球過ぎ。」

珈琲吹いてしかも喉にゲホゲホ。

ボスはゲラゲラ笑いながらテーブルを拭く。

「だって両思いなら一緒に住みたいでしょ?」

バレてる!!いやウェンが言ったのか?

え?両思い?


ウェンを思わず見ると複雑そうな顔して視線を逸らす。


「シアンは大丈夫だから。」

ボスが何故かそう言った。


シンクで台拭きを洗いながらボスがブツブツと

全くあの浮気者の殺人鬼め・・・。

何かサラッと小声でそう聞こえた。

聞き間違い?


まさかねー?!

問い詰める勇気など無いので聞かなかった事にしよう。


残った珈琲を美味しく頂く。


会話に困る・・・。

「おっ。買い出し班が帰ってきたね。」

ボスがそう言った。

「アジトの飯ストックね。」

ウェンが教えてくれた。


「そうだ。俺、そう言う感覚がまだ鈍くて。危険察知能力とかが全然無いんです。」

昨日、そうだった。何とかしなきゃ。


「気配か。慣れ!場数を踏むしかないね!」

「やっぱりそうかぁ。」

これと体術は強化しないとヤバいよね。


「さっ。アジトへ行こうか。」

ボスに言われてアジトへ戻る。


買い出し班はエルーカさん、バニラさん、ディードさんだった。

「また何時でも食べられる冷食しか買って無いわよ。」


ボスはOKと言っている。

本当に食生活が心配。俺、何か作れるっけ?カレーと肉じゃが、シチュー?

中身、同じだな。


「昼飯買ってきたぞー!!」

バックスレーさんの大声。一緒にラズとジハード様もビニール袋を抱えていた。

良い匂いする。


ドサッとテーブルに置かれたのはテイクアウト牛丼!!

「うあー!牛丼!!」

「お?ミナキも好きか?」

バックスレーさんに聞かれてうんうん!と頷いた。またしても好きな食べ物ばっかりだな。有難い。


「遅れたかな?」

そう言って入ってきたのはシアン。そしてハーミット様だ。


「はい。ミナキ。偽造国民カード、パスポート。」

わーおー。ハーミット様がくれた。

写真いつの間にか撮られていたのか?写真まで貼ってあるし。

「えっと。名前は何て書いてあるの?」

ハーミット様は、ん?と首を傾げて

「あっ。字の読み書きが出来ないのか!なるほど。ミナキ・フールで作ったよ。」

サラッと答えられた。

愚者で作ったのか・・。

ウェンはクスクス笑っているし。

「携帯の契約や銀行もウェン着いて行って書類は書いてやってくれ。」

牛丼を食べながら字の件は何とかしないとなとボスも考えている。


「でも、今はまだ金ないですよ。」

俺も牛丼食いながら。美味い。


「出すよ。」

ウェンがそう答える。甘えっぱなしで申し訳ない。

「給料入ったら返すからね。」

気にするなと言われるが気にするし。


牛丼を食べてからウェンとラズとスーツと言えばジハード様って事で俺の買い物に付き合って貰う事になった。

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