第16話6年越しの片思い
いつ頃からか?身体の周り漂うオーラが見える異能が身についた。1センチくらいの幅で見た目に影響は無い。
最初は相手の能力とか力?精神力?そう思っていたが違うと解ったのは他人の異能が解るボスに教えて貰ってからだ。
この色は俺への感情。
道行く全く知らない人は薄い白。
簡単に分けると暖色系は好意。寒色系は嫌悪。
黒は殺したい程嫌い。基本みんな色はパステルカラー。薄い。
特に人に好かれたいとは思わなかったがバロメーターにはなる。嫌われていたら話さない。面倒くさいし。
好かれて居ても日によって、俺の言動によって色が変わる。
カプリスの連中は俺を嫌っていないから居心地が良い。
でも、あまり話さない様にはしている。
色が寒色に変わる瞬間はチッと舌打ちしたくなるし。俺が悪いんだろうけれど。
この異能、変に気を使わせそうだから俺とボスしか知らない。
本当に要らない能力。
異世界からやって来たミナキに初めて会った時、こいつのオーラは透明だった。オーラなし?驚いたが異世界人だしそれも有るのか?と思う。
1週間後に再び会った時。
初めて見た・・・。真っ赤なオーラ。
俺の事が大好き?何故!!?
最初は理解に苦しんだ。
ボスと話しているうちに少しオーラに変化濃いピンク。
皆が自己紹介を始めたらまた濃くなって来て俺が名前を言うと真っ赤になった。
何故?!
試すように嫌われそうな発言をしたり睨みつけてみたりしたが・・・。
変わっても濃いオレンジや濃いピンク。
だいたいミナキの通常は濃いピンクか濃いオレンジだ。
濃いピンクや濃いオレンジのオーラの隣に居るのは居心地が良い。
赤いオーラの隣はもっと居心地が良い。初めての不思議な感覚。
「俺の専属にしたい。」
ラズにそう言った。ラズも賛成してくれている。綺麗な淡い黄色。怒ってない。
2人でゲームをしている最中も赤い。負けても赤い。
寝落ちしてもフワフワと赤い色のオーラ。
そっと髪を撫でる。暖かい・・。
優しくて暖かいオーラ。
俺も隣で寝た。触れるオーラが優しくて気持ち良い。
起こされて寝ぼけていたので思わず1人でベッドに向かっていて、あ!あのオーラ連れて行かねばと思い引き摺ってベッドに寝かせる。
真っ赤。
赤い。赤いオーラ。気持ち良い。直ぐに睡魔に襲われた。
好きな気持ちを利用したい訳では無い。
ただ傍に置いて起きたい。これを利用と言われるなら致し方ないが。
変な感情。何だろう?初めての感情。
シアンの話しを始めたミナキのオーラはどんどん色が薄くなる。
イラッ・・・。
イライラ・・・。
何故?
イライラ・・・!
何故?!
普段の冷静で冷酷さの欠片も無いこのイライラの感情のままに今迄誰にも話した事なかったのに。
暴露・・・。やってしまったかも。
・・・・・・・・・・・・・
「真っ赤なオーラ?」
恥ずかし過ぎて聞いては見たもののウェンから顔を背けた。
「好意は暖色系。嫌悪は寒色系。簡単に言うとそう見える。」
ウェンはそう言った。
赤って・・・そりゃ好きってバレバレだ。
「ごめんなさい。穴があったら入りたいです。今、顔を見れません。」
床にへたり込んで俯いた。
「言っても信じないかもしれないが。好意を利用したい訳では無い。」
はぁー。ウェンは大きな溜息をついて風呂入ると言って部屋から出て行った。
「好きってバレた。いや、最初から知ってたんだ。」
ウェンは違うと言ったけれど利用したかったからかな・・。
都合のいい男だし。
シアンの話したら嫌そうな顔してたなあ。
シアンの事を考えると俺のオーラ?の色変わるのかなあ?
二股。その言葉が頭を過る。
そこまでバレたのか。もうダメだ。
合わせる顔が本当に無い。
どうしよう。ラズの家に行く?
あーもー!頭を掻きむしって床に頭をゴン!!と打ち付けた。
ずっと好きだった。
紙面上のウェン。そして目の当たりにしたウェンもやっぱり好きだと思った。
身体目当ての時々優しい殺人鬼と異能目当ての俺の恋心を利用したい男と貴方ならどちらを選びますか?
誰に聞いているんだか・・・。
俺は・・・。
俺は!!
ウェンが好きだ。
ちゃんと話そう。
好きだけど。俺とシアンの事も。
ガチャっと風呂のドアが開きウェンがやっぱり上半身裸で上がってきた。
顔を上げてウェンを見詰める。
ウェンの顔が俺を見て優しく微笑んだ。
「良かった赤い。」
笑顔に心が撃ち抜かれそうでキュンキュンしてしまう。
「俺はウェンが好きだ!」
「うん。知っている。」
何食わぬ顔でそう言われる。そりゃ知っているってね。
「その。気持ち悪くないの?俺、男なのに。」
もう良い!聞いてしまえ!でも、反応が怖い。
ウェンは俺と同じ様に床に座り
「言っている意味が解らない。」
と首を傾げた。
「いや、普通は女性に好かれたら嬉しいものだと思うし。俺は男だし。」
そう言っては見たもののちょっと悔しくなって涙が出てきた。
ウェンの手がスっと俺の頬に触れて涙を拭う。
「こんなに暖かいオーラ初めて。」
触れられて顔が赤くなるのが解る。
「オーラって暖かいの?」
涙を拭われながらウェンは優しく頬を撫でる。
「初めて知った。皆、色薄いし。」
「赤いオーラ。全然気持ち悪くない。寧ろ気持ち良い。」
ウェンはそう言った。
何かちょっと意味の捉え方が違うんだけれど。
言わなきゃダメだ。ウェンに嫌われても。
好きだから嘘は付けない。嫌われたくない。
だけど・・・。
「ウェン。ごめん。俺はウェンと出会う前にシアンに出会って。快楽に負けてしまいました。」
ごめんなさい。項垂れる。
「・・・。襲われた?」
ウェンは不快そうな顔で聞いてきた。
解り易いくらいイライラしている。
「はい。正確には最後は合意の上です。俺を護ってくれる事と引き換えに。ちょっとした優しさに絆された所もあるし。だから・・・。俺は・・・。本当はウェンを好きになる資格なんて無い!!」
涙がまた溢れてきたけれど今度は拭ってくれない。
そりゃそうだ。
終わった。俺の6年越しの片思い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます