第15話そうだった

物凄く強い殺気を浴びてバックスレーさんの激しい攻撃を受けて思った。

何故、カプリスのNo.1はバックスレーさんじゃないんだ?

どう考えても強いメンバーランキングに入る筈。


そして思い出した。

エバーステイ博物館襲撃事件のラスト。政府側の主人公と仲間達がもう1人の警察側の主人公を助けに加勢に来る。

確か戦車か戦闘機に乗って・・・。


それでカプリスのメンバーを逃がすためにバックスレーさんは殿しんがりを務める。

そこで、右腕の肘から下を失うんだ・・・。


思い出して思わず大声で叫んでしまい3人に説明しないと行けなくなってしまった。

何て言おう。


「俺がヤバいって何だ?!」

「きちんと説明しろ。全く良く叫ぶ奴だなあ。」

バックスレーさんとラズが詰め寄る。


「で?」

ウェンがこういう時1番怖い。


「あの。これが・・・。」

俺は消していた四神を出現させた。そもそも四神にそんな能力は無いのだが。


「ボスが言ってたヤツか。完全に姿も気配も消せるんだなあ?」

ラズがふわふわと浮く四神を物珍しそうに見詰める。


「危機感値なのか?予言?予知?俺にも解らないんですが。バックスレーさんが今度の宝石展示の博物館を出た後?かなあ。」

あー。説明が難しいよぉ。


「早く!」

ウェンは急かすし。


「戦車?戦闘機?にバックスレーさんが襲撃される!!」

嫌でも、違うかもしれないし。一瞬見えただけだし!と必死で誤魔化した。


「戦車や戦闘機と戦った事は無いな。」

バックスレーさんは少し難しい顔して考えて居る様だ。


「もし、そんなもん持ってこられたら俺達全員ヤバいな。」

「有り得ない話では無い。実際に軍隊は出動した事あるしね。」

ラズもウェンもそう言う反応をしてくれた。


「ミナキ、そんなに不安そうな顔するな!別に戦闘機が来なくても怒らないし!頭に入れておけばいざと言う時対応出来る。」

ラズは優しく頭を撫でてくれた。

「はい。修行中断してごめんなさい。ありがとうございます。」

本当に来るなよ主人公2人目・・・。


その後。

俺が余計な事を言った為か修行が白熱した。

戦闘機相手に俺は結界を貼れる様になれ!と意気込み始めたし。


本当にバックスレーさんは強い。でも、この人も勿論護る。そう。俺の仕事だ。



・・・・・・・・・・・・


今日もウェンの家に泊まる。


「好きな飯買いな。」

カップ麺しか無いからなとラズが笑いながらそう言うとそれを勝手に食べる癖にとウェンがツッコミを入れている。


という訳で今、スーパーに来ている。


業務用スーパーマーケットって感じだなあ。いや、海外のスーパー!うんそれに近い。


取れないだろ?ってくらい上まで商品が並んでいる。

まあ、カップ麺もカップ焼きそばも好きだけど。

「米が食べたい。」

「弁当か冷凍食品だな。」

ラズがこっちだと案内してくれる。


「俺も米だな。弁当買おう。」

バックスレーさんは弁当を3つ買うと言っている。やっぱり良く食べる方だ。


「オムライス!!」

見た目美味そうなオムライス弁当にした。

朝飯は?と言われてパンコーナーでロールパンの袋を買うことにした。


ウェン・・・。やはりカップ麺。何か俺が飯作ってやりたくなって来たよ。

ラズも何か色々とオカズが入った弁当を買っていた。

「カップ麺はストック。」

そう言ってウェンも俺と同じオムライスを手に取った。お揃い。こう言う小さい事がめちゃくちゃ嬉しい。


他にもコーラっぽい炭酸や多分、お茶。何茶か不明だけど。

俺はお金が無いから買って貰うと言う。

「ごめんなさい。金無しで・・・。」

「気にするなって。」

ラズが皆の分まで払ってくれた。


ウェンの家で4人で晩御飯。

話しを色々聞いていると

「えっ?!このマンションに皆、いるんですか?!」

「今回は調査が長かったからなぁ。1日~2日なら野宿するけど。」

知らなかった。そりゃ朝からバックスレーさんもやってくる訳だよ。皆が想像以上に仲良しで嬉しい。

「シアンだけマイホームがあるんですか?」

そう聞くとシアンは各地を転々として殺人行為をしているらしく割と世界中に家があるそうだ。殺人鬼の癖に金持ちなんだな・・・。

晩御飯を食べた後は2人は帰宅。



「ミナキは?ミッション時に何着るの?」

ウェンが着てみる?とウェン様武闘着を出して来てくれた。


「え?!ウェンは?」

「色違いあるし。」

確かに黒、赤、青持ってたな。


「試しに着ても良いですか?ウェンも着て見せて欲しいんですけど。」

完全に着て欲しいって言うのは願望。


コスプレ。いやいや本物だ。語尾にハートが沢山付くくらいのテンション。


身長差は7センチ。ウェンは足首見える丈で動きやすそうだが。俺は普通に踝くらい。

ウェンはめちゃくちゃカッコいい。やっぱりハートが沢山付く。


「合うね。」

そう言われて照れる。お揃いだし。ウェンは黒、俺は赤。


「気に入ったらこれ売ってる店に連れて行くし買ってやる。今回は貸す。」

「ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しい!!」

本当に心からテンションが上がりまくる。


「その代わり。」

ウェンがほくそ笑んだ様な顔をして俺を見た。


「お前。俺の専属ね。」

え?

「専属って?」


「勿論、カプリス全員をミナキは護る。でも、俺優先。俺の異能発動にはミナキの能力が欲しい。」

即、頷きたかった。都合のいい男で全然構わない。ウェンが俺を必要としている。でも。


「えっと。そのですね。まだ記憶が戻る前にシアンに俺を守って下さいとお願いしてしまって。」

しどろもどろ。ウェンはシアンの名前が出て不愉快そうな顔をしている。


「俺、1人になると死んじゃいそうだし。誰かが側に居ないと結界は発動してくれない。だからシアンと契約してしまいまして。」

上手く説明出来ない。

言える訳が無い。


「契約?」

ウェンの冷ややかな目が俺を見詰める。


「本当にシアンが裏切らない自信ある?」

そう言われると・・・自信は無い。自惚れかもしれないがシアンは少しは俺に興味を持ったと思う。でも、身体だけかもしれない。


沈黙が辛い。


「俺がミナキを守れば契約は解消出来る?」

真顔のウェン。


実際にエバーステイ博物館でウェンとずっと一緒に行動したらシアンはどう思うだろう?

どう行動してくるのかな。


「ウェンは。異能発動の為とは言えどうしてそんなに俺を信用出来るの?」

信用してくれるのは嬉しいけれど。



「それは・・・。ミナキが俺を好きだから。」



え?!何それ?

何故、バレた?俺、そんなに態度に出さない様にして来たし?

ウェンって人嫌いの傾向強めで女の影も無かったし?恋愛なんて全くしない様なタイプな筈でそう言うの疎い筈で。

もう思考回路がぐちゃぐちゃ。



「お前は俺が好き。だろ?」

ウェンはフッと微笑んだ。



「不必要な異能。俺は相手の自分への好意がオーラで見える。」

目が点になる。

嘘・・・。そんな異能知らない。聞いた事無い。


「えー!!!!!」

「本当に良く叫ぶね。」

ウェンは呆れた声で溜息を付く。


「初めて見たよ。真っ赤なオーラ。」

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