第12話ミッション②
「俺の異能発動まで破られなかったら良し。」
ウェン様はそう言った。
例えラズ様であっても俺はウェン様を護る。
「よーし!本気で斬りに行くから。気を抜くなよ!」
ラズ様は剣を抜いて構える。
「そうだ!殺気放って貰えませんか?!」
「あー。一理あるな。やってみよう。」
ラズ様の殺気は肌にビリビリと来る。警察を殺った時のシアンよりキツい。あいつも本気出してなかったんだ。
ラズ様の殺気に合わせるかの様にウェン様が異能発動体制に入る。
ラズ様が斬りかかった瞬間、結界発動。殺気に煽られた様に能力が上がっている。そして俺自身も殺気を放っていた。
俺も・・・。もう普通じゃない。異能者だ。
3度ほどラズ様の剣を防いだ時、
「ラズ、俺の勝ち。」
背後から冷酷な声が聞こえた。
「わーー!!待て!本気で打つなー!」
ラズ様の焦る声と同時に放たれた光弾は俺の横を音速で通り結界を破りラズ様へ。
ラズ様を護ろうと思ったけど身体動かなかった。スピードが違う。
「いってー!!!」
地面に仰向けに倒れたラズ様が叫ぶ。
「今ので3割程度。」
現実に見るとえげつない。ウェン様の光弾。
それを受けても大丈夫なラズ様にもびっくりだが。
倒れて叫ぶラズ様に駆け寄る。
「あれは避けても追ってくるからなあ。」
ブツブツ言いながらも起き上がった。
「ちょっと待って。」
四神が付いてるなら出来る筈。
「
そう唱えながら身体に触れる。今すぐ身体を清めたまえ(治したまえ)と言う意味だ。
「ん?お前、回復系も使えるのか?」
全快!!とラズ様は立ち上がる。
「益々、便利。」
背後でウェン様がボソリと呟く声が聞こえた。
もう本当にいくらでも使って欲しい。
「なるほど。俺達も殺気を放って本気でやらないと発動が中途半端になるんだな。」
ラズ様が何か解ってきたと言った。
夕方まで繰り返し結界発動のトレーニングをして本日の修行は終了となった。
正直、めちゃくちゃ疲れた。
「今日、シアンは家に帰っているのかなあ?」
帰ってなかったら何処で寝よう。
「潜入している時は帰宅しないな。連絡取っても良いが戦闘時だったら連絡取るのも危険だろ?」
ラズ様がそう言う。確かに向こうからの連絡を待つというのが定石だ。
「うちに泊まる?」
ウェン様がボソリと言った。脳が追いつかない。え?
「家あるんですか?!」
ラズ様が笑いながら
「あー。言ってなかったなあ。こう言う仕事の時はウィークリーマンションを借りたりホテルに泊まったりするんだ。仮アジトで寝ても良いし。」
そうだったのか!!
どっ・・・どうしよう!!
「と・・泊めて下さい・・。」
俯いて必死で声を絞り出した。
「そんなに遠慮する必要は無いんだぜ?」
ラズ様がポンっと肩を優しく叩く。いや、遠慮とかじゃなくてぇー。これは浮気?でもシアンと付き合っている訳では無いし。それになんだ俺の本命はウェン様だし。。気持ちは何だかモヤモヤ。
案内されたウィークリーマンションはエバーステイの中心部から少し離れた場所にあった。
「ここ。」
ウェン様がマンションの鍵を開けて入る様な促した。
「お邪魔します。」
「俺は隣だからシャワー浴びたらそっち行くよ。」
ラズ様がそう言ってくれてホッとした。2人っきりとか耐えられる気がしない。
マンションは良くある家具家電付のウィークリーマンションワンルーム。JUSTICE&の世界って現代の海外風だったし。生活は本当にしやすそう。
「何か服貸そうか?」
ウェン様がその服汚れてるしと言う。
ウェン様の服。ウェン様の服。ウェン様の服ーーーー!!
「借ります!」
もう煩悩の塊です。あっでも。。
「浄化ってどうするんですか?風呂入ったり洗濯した様にするやつ?」
そう言えばどうするか不明。シアンに聞いてなかった。
「イメージ。」
イメージ?うーん?何か簡単そうで難しい。
「でも、こういう所ではきちんと風呂入って洗濯した方が良い。」
うんうん。とウェン様は頷きシャワー先に浴びると言って風呂へ行かれた。
無表情だけどいっぱい喋ってくれる。本当にそれだけで感動だ。
紙面上では見た事無かった笑顔。可愛かったなあ。思い出すだけで顔がニヤける。
それに戦闘時でない時の今日の様な私服もレアい。
ウェン様は通常はチャイナ系の良く漫画等で見るような武闘着を着用している筈。多分この世界でも。
私服は黒Tシャツにダメージジーンズ。それがまた良く似合っていて萌えた。
ラズ様は戦闘時は軍服姿になる。しかし今日は赤のTシャツにカーゴパンツと言うラフな格好だった。やはり萌え!!
俺の大好きカプリスランキングは勿論、No.1はウェン様。No.2はジハード様。そしてボス、No.4がラズ様だ。
そんな萌え萌え妄想をしていたら。
風呂上がりのウェン様!!
上半身裸だった。
かっ・・・カッコいい!!割れまくった腹筋に目が釘付け・・・。
「何?」
見過ぎた俺にウェン様はちょっと嫌そうな顔で聞いてきた。
「いや。シアンもそうだったけど。そのー。筋肉がスゴすぎると思って・・。」
「んー?お前は?」
急に俺に近づくや否やウェン様は俺のシャツを捲りあげた。
え?えええ!顔がめちゃくちゃ赤面する。
「まあまあ?まだ鍛え方足りないかな。」
ただの腹筋チェックなんだろうけれど。
「なーにやってんだー?」
ラズ様が笑いながら部屋に入ってきた。
「腹筋見てる。」
「あー。もう少し頑張ろうだなあ。」
ラズ様もしみじみと俺の腹を凝視している。
そしてウェン様にサワサワと腹を撫でられた。
「ひゃうー!!!」
思わず変な声が出た。
ラズ様は爆笑で
「腹弱いか。もっとくすぐろうか?」
ウェン様は嬉しそうにニヤっと微笑んでいる。
「無理です。もー!シャワー行ってきます!!」
急いで風呂場へ。
はぁはぁはぁ。
全くもう。ラズ様はまだ爆笑しているし。
本当に困った。ただ腹を撫でられただけで下半身元気になってしまったし。
俺。今日寝れるのー?
取り敢えずシャワー浴びて鎮めよう。
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