第2章 Caprice(カプリス)

第10話出会い

今日は素直に玄関から外に出る。

シアンはサンダルじゃ不便だろ?と靴まで買ってくれていた。

クソ・・・優しい。

「ありがとう。靴は本当に助かる!」

「この前、動き悪かったしね。」

そう言われて確かにと思った。よく気がつくし優しいし。背高いし。シアンは185センチ?だったかな。俺は168センチ。もっと高身長に生まれたかったよ。


シアンの家は住宅地の外れの方の寂れた洋館だった。昼間に見たのは初めてだったので中の雰囲気とだいぶ違うのに驚いた。


「最短ルートで行くよ?」

そう言われてまたパルクールをやる事に。楽しかったけど。

壁を上り屋根へ上り。ポーンと軽く飛ぶ。空を飛ぶような異能では無いけれどこれが出来る身体能力なのが楽しい。

暫く行くと街の外の荒廃したビルが見えた。

仮のアジトだ。


ドキドキして来た。

あの怖そうな人達が俺の!俺の!!愛する推し達だったなんて!


「緊張?」

「多少は・・。」

顔に出そうなのを誤魔化して1階から普通に階段を登った。


気配を察したのか見張りなのか3階の階段にピアスをくれた女性が居た。

「いらっしゃい!」

「この前はありがとうございました!ミナキです!宜しくお願いします!」

相手の名前知っているんだけど知らないふり。

「エルーカ・エンプレスよ。宜しくね。」

エンプレス様。祈りたい。俺を拾ってくれてありがとうございます。

やっぱりナナシじゃ無かったわね。と笑いながら4階へ案内してくれた。

相当な緊張でも。会いたくて仕方ない思い。


ボス!!!うぁぁ!チャラカッコいいー!

顔に出ない様に必死で自己紹介や召喚エラーなどの説明と挨拶をした。


「エラーねえ。うちとしては目出度いエラーだよ。ようこそCapriceカプリスへ。所属は小規模マフィア。やる事は主に盗み。意味は気紛れ怪盗集団って感じかなあ。」

ボスの目は相変わらず俺を見透かす様な目で。その目!!好きです!


「何か異能増えたね?都合のいい男以外に。」

ボスは見ただけで相手の能力が解る。そうだった四神。

あれは?俺が子供の頃に陰陽師になりたいとか思っていたからか?まださっぱり解らない。


「これは基本結界なんだけどー?式神って何?」

ボスは異能と会話出来るんだろうか?僕の頭の上と会話している感じ。式神だったのか!戦える能力が身についた?

しかし、使い方は不明なままだ。


「自分の身代わりで戦ってくれる感じのものだと。」

説明が難しい。ボスはなるほどと頷いている。


「あの。ボスの事はボスで良いですか?」

実はボスの名前って不明なんだよね。


「そうだね。面倒くさい名前だからボスって呼ばれるのかも。ランジャン・クマーラ・ガラプサプン・タノージ・エンペラー。」

「えーと?何処が名前なんですか?」

長い・・・。

「不明。祖父が異世界のインド?とか言う国の人だったらしくて。俺は異世界人クォーターなんだよ。」

なるほどインド系の長い名前か!!

ボスは異世界人クォーター?!衝撃の事実だ。

「では。ボスかエンペラー様とお呼びして良いですか?」

「ぷッ。エンペラー様?いいよ?おかしな子だね。」

ボスが尊い・・・。


「じゃあ、皆を紹介しよう。」

待ってましたー!と叫びたい気持ちを抑えて宜しくお願いしますと頭を下げる。


ピアスをくれた女性、エルーカ・エンプレス。

殺人鬼、シアン・ワールド。

ボス、ランジャン・エンペラー。(省略)

最強ハッカー、アルージャ・ハーミット。


「宜しくな!期待してるぜ!俺はバックスレー・ストレンジだ!」

身長205センチ。あの野獣だ。知っていて見ると怖くない。


「バニラ・テンパランス。宜しく。」

翻訳機をくれた可愛い系の女性。男性ファンが多い。


「この前は色々と疑って悪かったね。俺はジハード・スター。」

メガネイケメン高身長!!そして強い。気が多いが好き。


「ディード・チャリオット。殺人鬼と同居お疲れさん!」

からかうように笑った彼は金髪ヨーロッパ系イケメン。


「宜しくな。ラズ・ハングマンだ。」

長髪の切れ長の目が今日も素敵です。ハングマン様。


「ウェン・ムーン。」

クール!無口!冷徹!身長175センチ。黒髪のフワリとした癖毛。そして鋭い目付き。

俺の6年越しの片思いの相手だ。

絶対俺はMだと思う。もうその目付きだけで

クラクラしそうだ。


カプリスメンバーが堪らなく好き。もうカプリス愛が止まらない。

本当に命に変えてもこの人達を俺は護る。

そう誓える。


「ミナキは苗字があるみたいだけど?一応変えても良いんだがどうする?」

感慨に浸っていると急にボスに提案された。


えぇ!どうしよう!タロットの大アルカナで後使えそうな苗字か。


「ラバーズかフール。」

ウェン様がボソリと呟いた。

俺の為に選んでくれるなんて!!

どっちも何か嫌だけど。


愚者フールにします!!」

そう俺が発言すると

「こいつ面白い。」

ウェン様がクスっと笑った。笑顔、初めて見た。可愛すぎて顔が赤面する。


「ウェンが変なの選ぶから。恥ずかしがられてるじゃん。」

ボスがケラケラ笑いながらそれで良いの?と確認した。俺は大丈夫です!と大きく頷く。

いや、もう愚者で良いです。何でも良いのです。笑顔が見れただけで心臓バクバクなんです!


カプリスってこんな感じなんだ。

政府目線でしか見てなかったから知らない事が沢山だ。彼等は本当に今を楽しんで生きている感じがした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る