転生令嬢の再契約。


すうぅと、私とベネは息を吸います。


そして同時に手をかざし、唱えました。


「「世界に、希望と夢を。精霊に、知恵と勇気を。人間に、明日と命を。我らが二人一つとなりうる刻、それは奇跡を意味す」」


「「二つの光が一つとなれば、世界に幸福が舞い落ちる」」


「「また同時に二つの闇も一つとなれば、世界に破滅が訪れる」」


「「決して、その手を離してはならぬ。恐るな、己の手を。己の、力を。愛する人を」」


「我、精霊王ベネラヴィ・クローズ・ウェガスは、奇跡の英雄アルクーリ・ドルクと共に、契約をなすこと、この場にて誓う」


「我、奇跡の英雄アルクーリ・ドルクは、聖霊王ベネラヴィ・クローズ・ウェガスと共に、契約をなすこと、この場にて誓う」


「「神よ、我らの行動をご慈悲を」」


この契約は、途切れない。誰にも、私達でさえも。これは、永遠なる絆を結ぶ儀式である。そして、世界を左右するもの………。


裏切れば、それはそれは…………を持つであろう。



精霊王との契約は、命を賭ける。安易に契約してはならぬのです。たとえ、強い絆で結ばれていても………。


契約が終わり、私とベネは一息つきました。

 

「してライラ。ルイガとレイガはどうしたのかえ?」


唐突にベネが質問してきました。


ルイガとレイガは、私の愛剣のことです。


二つとも、ですが……。


「わたしがしんだから、もとのばしょにいるんじゃにゃい?」


私がそう返答するとベネは、顎を手に乗せ考えに浸って暫くして、こう言いました。


「ふむ……して何故お主は赤子の口調になっておるのじゃ?」


逆にこっちが聞きたいくらいですけどね。


「さぁ……?」


曖昧に返すと、ベネは苦笑いを浮かべました。


「聞き取りづらいが戻せることは出来るじゃろ?」


「あー、いまのしゅてーたしゅわかんにゃいからむりだとおもう…」


「うーむ…あ、そうじゃ! 妾がすればいいのじゃ!」


「えっ」


「それ!!」


ベネのかけ声と共に光が私を包み込んだかと思うと、光が収まり、ベネは笑顔で頷いています。


「ベネ今何を…って、普通に喋れる!?」


思わずポツリと呟くと、自分の声の変化に気付き、驚きました。


喋れたのです、普通に!


「うむ!大成功じゃ!!」


「大成功だー!」


二人で喜び合ってると、横から声がきこえました。あ、イア達もいますよ。


≪僕達空気なんですが≫


≪なんか忘れられてるんですが≫


≪存在感皆無なんですが≫


不服そうに言うイア達の存在にやっと気付いたベネは謝罪の言葉を告げました。


「すまぬ。ついうっかり……」


「うっかりにも程があるだろうが」


すかさず突っ込みました。口調戻ってるけど。


「ライラ、口調がアルクになっておるぞ」


「ベネといる時は素でいいだろう。今更相棒に取り繕うなんて無理だろ」


「そうかえそうかえ」


ベネはにやにやと意地悪く笑っています。


ったく、お前の方が分かってるだろうが……。


ま、ベネが喜んでるし結果オーライか。


イア達が不貞腐れてなきゃ、な?

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