転生令嬢の引っ越しの準備と引っ越し。

謁見から、帰って二十分が過ぎました。


今は自分の部屋で、王城に住む時の荷物準備をしています。


「あとはー、このおよーふく!」


さてと、残りの荷物を決めた所で必要な物は…無いですね。


「ライラ様、準備が整いましたら皆様の所へ行きましょう」


マイナが言いました。


「いまおわったから、いきましゅ」


「分かりました」


正直言って、お父様達が面倒くさいです。少しは、子離れした方が良い気がします。



行きたくない気持ちを抑えつつ、私はマイナさんと一緒にお父様達の所へ歩き出しました。



◇◇◇



「ライラ、戻って来ても良いんだよ!」


「「そうだよ」」


無理な話です。断ったら、不敬ですよ。


「おとーしゃま、おにーしゃま。いわれにゃくとも、わたしはおうじょうにいきましゅから。これでも、はくしゃくのみです。じぶんでじぶんのことぐらいきめられましゅ」


「「「二歳児の言う事じゃないよ」」」


じゃあ、二歳の子は何て言うのですか。


「ギル、ジル、カイ。送っていきましょう。それに、仕事で会えるでしょう」


「「「それは、そうだけど…」」」


お母様が珍しく私の味方をしてくれました。失礼ですが。


「私なんか、滅多に会えないのよ! 私の方が辛いわ! ギル達の方がまだ良いでしょう!」


そこですか! 違う事を言って欲しかったです。


「「「も、申し訳ございません」」」


≪騒がしいなあ≫


「いあ、きてたの?」


突然、イアが現れました。


≪うん!≫


≪よ!≫


≪どうも≫


次にレオ、ミアが現れました。


「「「「「イア殿達!!!!!」」」」」


今、気づいたっぽいです。


≪ライラ、もう行こう。時間が勿体無い≫


≪だな≫


「そっかー。おとーしゃまたち、ごめんにゃしゃい。もう、いきましゅ」


「「「え! もう!」」」


「いってきましゅ!!」


「いってらしゃ〜い!」


「いってらっしゃいませ」



焦るお父様、お兄様達とお母様やマイナを背にし、私はイア達と共に迎えの馬車に向かいました。



◇◇◇



≪相変わらずデカいなー≫


「おうじょうだもん。おっきいにきまってるよ」


≪レオは、馬鹿なんだよ≫


≪馬鹿じゃねー!≫


じゃれ合う二人。元気ですね。


≪静かにして下さい。人前です≫


笑ってない笑顔でミアが注意します。後ろに黒いオーラが出ている気がします。


≪≪ごめんなさい≫≫


≪分かれば良いです。あ、もう門に着きましたよ≫


迫力ある大きな門が目の前にあります。


「大きい」


≪≪≪大きい≫≫≫



四人の声が見事にハモリました。




その後、王城の中に入りました。














––––––––ギイイィィィィッッ––––––



扉が開きます。




緊張しながら入ると……。



–––––パンッパパンッ!パンッッッッ!–––––


≪≪≪!≫≫≫


「!?」




『ようこそ!』



大きな音と共に現れたのは、百、千、それ以上の数の人達です。



「ありがとうごじゃいましゅ!」


≪≪≪ありがとうございます≫≫≫


暖かい歓迎に礼をしました。



「ライラ! 来てくれたんだ!」


「にぇろ!」


≪≪≪げっ≫≫≫


ネロが前に来ました。輝く金髪を揺らし、柔らかい黄緑の瞳は喜びに満ちています。


「「ライラ!」」


「れと! りと!」


≪≪≪げげっ≫≫≫


ふわふわな桃色の髪を揺らし、深い青の瞳がキラキラ輝いています。


「「「ようこそ!」」」


ネロ達が抱きついて来ました。


「わっ!」


≪≪≪!≫≫≫


「「「えへへぇ」」」


三人共、胸に頬をすり寄せて来ます。


≪≪離れろ!≫≫


≪離れて下さい!≫


イア達が三人をベリッと離しました。


≪≪≪万死ばんしあたいする≫≫≫


「やめて。ひところしゅのやめて」


物騒な事を言わないで下さい。


≪≪≪分かった≫≫≫


「「「こわっっ!」」」


そんなやり取りをした後、ネロ達に案内してもらう事になりました。


…王子が女の子に抱きついては、駄目ですよね。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る