のんのんのんびり温泉巡りトラブル付

クロミnov25

新川空と九条真帆

第1話温泉はやっぱいいわとなるはずが・・

 まもなく18番線に博多行きのぞみ9号が入ります。

白線の内側までお下がりください・・


 はぁはぁ・・


「間に合った・・ギリだ危なかった…」


そうボクは今東京駅の新幹線ホームにいる。

やっと取れた休暇で温泉旅行をするために・・・


 ☆・☆・☆・


 今日も仕事おわったぁ♪明日から久しぶりの連休だぁ・・

予約している温泉旅館も楽しみだけど、一番はやっぱ温泉だよなぁ・・


 ボクは千葉の部品工場の保全課に勤務する新川空27歳、通常勤務で工場の製造ラインの機器の修理が主な仕事です。


最近の機器はほとんどが、プログラム化されていて故障は、プログラム基盤の交換が多く、ボクはもっぱらそれ以外の機械的な部分の修理が主な仕事だ。


機械部分の修理は分解工程、組立工程が多く複雑で、一度始めると数日間かかることも多々ある。

製造ラインの修理は工程が決まってるから、トラブルと修理は完了するまで帰れないことが多く、よく深夜になることもある。


最近はトラブル続きで残業が多くて、やっと残ってた修理が完了した。


ボクが今やってる仕事は大変だけど、頑張る理由が、この会社、日本全国に工場があって他の工場から応援要請で出張することが多く、旅行好きのボクは、この会社凄く気に入っている。


それで、ボクの任されてた修理は今日で完了した。そして保全課長に業務報告をすると、残業し過ぎだと注意された。

課長からは、もう少し部下と、関係部署に協力してもらえと言われた。

そして課長から修理のない今のうちにと、強制的に4日間の休暇を取らされることになった。


それでボクは前から行きたかった、九州温泉旅行を計画した。

金曜日までトラブルもなく保全業務を終え課長に報告をして帰ろうとしたら、課長に呼び止められる。


「新川来週から休暇か、ラインのトラブルでずっと連勤だったからなあ、まあゆっくり休んでくれ!

出社は再来週からでいいぞ!俺が追加で休暇申請しておいた。

だから新川、土日入れて1週間のんびりしなさい」


「課長!ありがとうございます!」


「ああ、土産話楽しみにしてるから、気をつけて行けよ!悪い男に引っ掛かるなよ!」


何を言い出すのこの人…


「課長!ボク男ですよ!何言ってるんですか!」


「ハハハ…すまん、俺にはどうも女性にしか見えんのでな…

第一お前男子トイレ使用禁止にされてるだろ。

それに保全課の連中は、お前を男にみてるやついないぞ」


反論できない・・

確かにボクって身体も小さく、足も細くて色白で髪も少し長いからボクの事男って見てくれないんだよなぁ・・


「うぅ・・ 確かにボクが保全課のトイレとか、工場棟のトイレ使うたび騒ぎになり、他部署の部長や課長から怒られましたけど…」


ボクが下を向き恥ずかしくしてると、課長は笑いながらボクが気にすることを言い放つ


「あい変わらず可愛い仕草だな」


ブシュー


「な・何を言ってるんですか!課長」


「怒る姿も可愛いぞ!ハハ、だからお前の事でこれ以上問題が大きくならないように、工場長が各部長達に指示して、組み立て棟と事務所棟の女子トイレを、新川の使用許可を女子社員に通達したら、誰も反対が上がらず認められたのだぞ!

だから誰もお前を男と見てない!」


ボクは恥ずかしくて下を向く、そうなんだよなぁボク男だよ!

なんで女子社員怒らないの?

おかしいでしょって言いたいけど、恥ずかしくて言えないうぅ・・


「新川お前のその下を向き、もじもじする仕草アウトだ!

誰が見ても可愛い少女にしか見えんぞハハハ」


「ぼ・ボクは男なのに…」


「ハハハまぁそういう事だ!気をつけて行け、お疲れ様」


そう言って課長は笑いながら戻って行った。

ボクは電車で自宅に帰り部屋の掃除そして、明日からの旅行の準備をして早めに寝ることにした。


「ダメだぁ久しぶりの旅行に興奮して眠れない…

眠くなるまでルートの確認でもするか… zzz…」


気が付いたら朝になっていた。


プルル♪プルル♪プルル♪


「なんだよ今日休みなのに…」


ボクは携帯アラームを止めて時間を見る、今日旅行なのに目覚ましいつもの勤務時間に起きる設定になってるのに気づく


 「うわーー!寝坊したぁ・・ ヤバい!」


ボクは慌てて着替えて駅まで走った


はぁはぁ…


ボクの住む地方駅から電車を乗り継ぎ、東京駅発7:10発の新幹線に乗るため急いだ。

東京駅って乗り継ぎ時間かかるからやばいな、走らないと間に合わない!

ボクの乗る新幹線は18番ホームか急げ・・


はぁはぁ・・

ダダダダダ

はぁはぁ


 

プルルルルー

プッシュー


ガタン


はぁはぁ…


「間に合った・・ギリだ危なかった…」


ボクは新幹線に無事に乗り込んだ。

九州へ向け出発だぁ♪


「5A…あここか 」


ボクは席に座り、スマホの音楽を聴きながら景色を見てると、いつの間にかウトウトして2時間ほど眠ってしまっていた。

気が付けば京都付近を列車は走っていた。


 東京駅を出発した時は、隣の席は空席だったが、今はスタイルのいい美人の女性がいた。


『うわー凄い綺麗な女性だモデルさんかなぁ…』

 

普通の男性ならラッキーっと思うのかな?

でもボクは顔は女の子に間違えられ、身体も小さいからこういう大きい女性は苦手…

何度も騙され痛い目にあってるからよけいかなぁ…

だからボクは、女性には全く興味がなくなっていた。


 ボクが目を覚ましたのがわかると、女性が首を傾け挨拶をしてくる


「こんにちは旅行ですか?」


「あっはい!」


ボクは一応挨拶を返し、すぐスマホに目を向け現地の情報収集をしていた。

すると女性の方から話しかけて来て、どこまで行くのかとか普通に聞いてきたのでとりあえず普通に返した。


「どちらまで行くのですか?」


「九州熊本です」


「………」


ボクからは質問することはしなかった。

 何も表情も変えないボクに女性イラついたのか、いろいろ話しかけてくる


「お一人で熊本を巡られるのですか?」


「はい!」


「お一人では危なくないですか?」


『ん?危ない?どういう意味?ひょっとして女性に間違えてる?』


ボクは勘違いしてると思い相手に答える


「あの… ボクこう見えても男ですから大丈夫です」



「えっ… ごめんなさい 可愛いから女性かと…」



それから気まずくなり女性から話しかけて来なくなった


何か話しかけてこようとしてたけど無視した。

もうほっといてほしいと思ってたら、ちょどタイミングよく女性が席を立ちドア付近に歩いて行った。


トイレかなと思い今のうちに寝たふりをすることにした。終着の博多まで2時間ボクはひたすら寝たふりをした。

そして列車が終着博多に着くころには、女性は席にはいなかった。


ほっと一息つきボクは、博多から最終目的地阿蘇に向かうため列車を乗り換え、しばらく列車の揺れと景色を楽しんでると列車は1時間ほどで阿蘇に到着した。


 阿蘇駅は観光地の駅らしく、駅舎も黒の渋い日本風駅舎で駅前も綺麗に整備されていた。ボクはタクシーに乗り、この日泊まる温泉旅館に行きチェックインを済ませ暫く旅館の周りを散策した。


「はぁーいいなぁ・・この感じ空気は美味しいし人は優しいし癒される来てよかった。」


 1時間近く散策しながら、風景をスマホに収め、旅館に戻り楽しみにしてた温泉に入った。

ゆっくり温泉を堪能したボクは、満足して部屋に戻ろうと男湯を出た時、風呂を出た休憩スペースから女性の大きな声が聞こえてきた。


「もう私に付きまとわないで!やめてください!」


 えー!何か男女のもめごとかな?

厄介ごとのような気がする・・

こんなところまで来て、巻き込まれたくないから、そっとその場から離れようとした。


パタパタ…


すると、その女性がボクを見るなり、走ってきていきなり腕を絡ませ、わけのわからないセリフを言ってくる


ダダダダダ…

ガバッ!


「もう遅いよぉ・・ソラが遅いからまた絡まれたじゃん!」


 えーー!何!なんでボクの名前知ってるの?

そもそもあんた誰だよ!って叫びたくなり口を開こうとしたら、絡んできた女性が小声で懇願してくる・・


「おねがい話合わせて、あの人ストーカーなの」


 女性は男に向かって、ボクの事を紹介する。

えー-!何で絡まれてるのぉー


「私にはこの人がいるの!結婚もするの!だからこれ以上付きまとわないで!私はこの人を愛してるの!」


 ちょ・・何言ってるの?話合わせてってそんな無茶苦茶な・・

彼女を見ると必死な眼差しでボクを見てくる。

はぁ・・ なんでこんなことに巻き込まれるんだよぉ

他にももっとカッコイイ男性いただろ・・

なんでボクなんですかぁ・・

はぁ・・

わかりましたよ!一芝居打ちますよ、くそ!

相手に向かってしゃべろうとしたら、ストーカー野郎がボクに向かって怒鳴り散らす


「てめえ!俺の女に何てえ出してんだ!今すぐ別れろ!

てめえみてえな女顔したチビが真帆とつり合いなんてとれねえよ!」


 はいはいおっしゃる通りです。

このモデルのような高身長の美人さんとチビのボクは釣り合い取れないですよ!

でもここは、彼女のお願いに応えストーカーさんはお帰り頂きます。


「あのさ!こんなところまで追いかけて来て、しかも彼女に断られ近寄るな宣言までされたんだろ!

男ならスパッと!諦めろ!馬鹿なの?なんなら今すぐ警察電話入れるよ!」


「てめえ!チビのくせに何反論してんだ!あ!さっさと俺の女と別れろ!」


 ストーカー野郎はボクの胸倉を掴んでボクの身体を地面から離し自分の目の高さまで持ち上げる。

ボクは身長150cm、相手は恐らく190cmくらいかな、とにかくでかい!

いいガタイしてる、これは確かにまずいかも・・

とにかく彼女のために一芝居打って相手に一発殴らせないと


「あんたは馬鹿なの!こんなことする奴に大好きな女を渡すわけないでしょ!

ほんと馬鹿なの?頭使ってしゃべってる?

身体だけでかくて頭は空っぽか・・ プップ」


「てめー!」


 男はボクの挑発に乗りボクを地面にたたきつけ蹴ってくる


 ドス!


 上手くダメージコントロールして、立ち上がると、男は女に近寄ろうとしたが、再び起き上がったボクを見て、ボクに向かって殴りかかってくる、女性も涙目でボクを見つめてる・・


「チビが!起き上がってくるんじゃねえ!ねてろや!」


 「そんな簡単に2発ももらわないよ!ばーか!」


ボクは殴ってくる拳を掌底で払いのけると、同時に踏み込んできた脚に、足払いをかけて男を倒し相手の腹目掛け拳を打ち下ろす!


フン!

「うわー」

ドスン



「はぁー!せいや!」


 ドス!


「グエェーーーーー!ハァ・・ハァ・・グゥ・・」



 男はスムーズな呼吸ができなくなりのたうち回る・・


「2度と彼女に近づくな!屑やろー!」


 男が腹を抑えながら逃げていった。

暫くして近くの駐在さんが、来てくれて事情聴取され1時間後、ボクはおとがめなしで、解放された。

ボクを巻き込んだ彼女の方は暫く事情を聞かれていた。


「はぁ・・ とんだ一日にだった。マジ疲れた部屋の内風呂に入ってから寝よ」


ガチャ

バタン

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