優しい魔王

「(他にも生きてる人がいる よかった 助かった)」

涙がこぼれてきた

「助けてください」

「君もまだ生きてられたのか おれだけだと思ってた1人ぼっちじゃなくてほんとよかった」

まさかこの人もぼくと同じなのか?

「君、なんで僕達だけ生きているのかわかる?」

「わからない 気を失ってて起きたらみんな死んでて」

「落ち着いて泣かないで おじさんも一緒だよ とにかく何かわかることがあるかもしれない手がかりを探しにいこう」

「怖い」足が動かない どうして?なんでみんな死んじゃったの?

「大丈夫だ おれがお前を救ってやる!ここに立ち止まっていてもなにも始まらない 行くしかないんだ」

ぼくは、とにかくおじさんの手を握るだけで必死だった


「おい、ここにも人がいるぞ 生きてる人だ」

え?生きてる?僕達だけじゃなかったんだ

「おい大丈夫か」

そこにいた女性は、泣いていた

「なんで死んじゃうのよ 置いてかないでよ置いてかないでよ ねぇ ねぇ ねぇ」

そんな言葉が耳に入ってこないほど泣いていた

「おい、もうそいつは、無理だ いつまでも泣いてお前も死んだら意味ないだろ」

女性は、こちらに気づいたようだった

「生きてる...ひと?」

「そうだぼくらは、まだ生きている」

「どうして?どうして?死ぬのがお前だったらよかったのに 拓海くんじゃなくてお前なら」

「そうだな こんなおれが生きててごめんな」

なんでおじさんは、謝ってるんだろうおじさんは、悪くないのに 普通なら怒るはずなのに

その女性は、ぼくの方をみた

「はっ ごめんなさい 私頭が真っ白で本当にごめんなさいごめんなさい」

顔は、もう女性が拓海くんって呼んでいた人であろう人の血や涙でぐしゃぐしゃになっていた

ぼくをおじさんのこどもだと勘違いしたのだろうか

「そう言ってしまう気持ちも分かる でももうそんなことを言っている暇もないんだ この子もおれの息子じゃない おれにも息子がいてな たけしっていう

多分もう生きてないと思うけど...妻も死んでしまってさ ぐすっ」

そのおじさんも泣きながら話していた

「だめだ おれもよわいな」

そんなことは、ない この人は、強い

「あなたも一緒に来てくれませんか?もしかしたらこの病気?みたいのにかからない体質とかがあるのかもしれない。もしそうならまだ生きてる人もいるかもしれない」

「わかり...ました 本当にごめんなさい」

「いいんだ 気持ちは、分かる。きにするな」

「他にも生きている人がいるかもしれない探しに行こう 助けるんだ」

そして僕達は、他の生存者を探しに行った

ぼくも強くならなきゃ せっかく生きてるんだから


がくっ どん

痛っ

「大丈夫か?」

「大丈夫です 」

「そうか、よかった気をつけろよ 危ないからな」

「あの...どうしてこんなに優しくしてくれるんですか?知らない人のはずなのに」

「さっきも言ったけどおれには、息子がいてな

最後の最後に話を聞いてやれなくて 助けられなかったんだ もしかしたら生きているかもしれないけどな

その息子と君が同じくらいの年齢でね 君といると君が息子みたいにかんじるんだ なんて自己中な理由なんだろうね」

「自己中なんかじゃありません」

「そうか ありがとう 君も誰か困ってる人がいたら絶対に見捨てちゃだめだ 助けにいって手を差し伸べてあげるんだ 自分が死ぬかもしれなくても 見捨てちゃだめだ 困ったときは、助け合いだぞ! よしっほかにいきてるひとをさがすぞ」

「はいっ」


「ここにも生存者がいます」(ぼく)

「この人も生きてます」(女性)

なんと何人も生きている人がいたのだ

ざっと40人くらいだろう

「暗くなってきた今日は、これ以上は、無理だ。また明日も探しに行こう できるまでなら助けられるだけ助けるんだ」


そうだ絶対にだれもみすてちゃだめだ 




たとえ自分が死んででも




「やっぱりなにか体質的なところで死なない人もいるのか?」(おじさん)

生きている人の中には、家族が多かった

おじさんの言う通りで家族が多いのは、遺伝だろうか

「これならまだ生きてる人が他にもいるかもしれない

いや  そうであって欲しい」(おじさん)

僕達は、見つけた人たちといっしょに食料などがたくさんあるショッピングモールにとりあえずは居ることにした

「やっぱ電波ねーか 誰か助けに来てくれ」(おじさん)


「なんだあれ?」 「自衛隊か?僕達を見つけに来てくれたのか?」

ガスマスクをつけ全身迷彩柄の服を身につけ、はだの露出が一切ない人が2人いた

人々は、歓喜をあげていた

しかし、そんなに甘いものでは、なかった

「生存者発見 生存者発見 生存者がいますがどうしますか?」

「なんだ?生きてる人がいるのか まあいい予定通り地球のワクチンを採取してもどろう」

「この人たちを見捨てるのですか?」

「そうだ」

「そんなことは、しちゃだめです」

「おい、貴様だれにむかっていってんだ?こんな奴ら数十人よりもっと多くの命の方がたいせつだろ?しかも今は、人助けより任務を優先しろ任務を 地球のワクチンの回収だ」

任務?なんのことだ?見捨てる?ぼくたちは、死んじゃうのか?

まわりもどよめき始めた

「おい、見殺しってどうゆうことだよ」(おじさん)

「そのままの意味だ。特別に教えてやる。これの拡大を防ぐために人を溶かす薬をまく。見捨てるっていうのは、今助けようと思えば助けられるがどんな菌をおまえらが持ってるかわからない。だからここに置いていって薬で一斉に生きてる奴も殺すってことだ」

「おい、てめーふざけんなよ」

「自衛隊に逆らうつもりか?早くはなれねーと打つぞ」

「おまえどうせ殺すんだろ俺たちを救えよ」

「あー鬱陶しいな」

バンっ

「キャー」打たれた おじさんが 打たれた

「おまえらもこうなりたくなかったら大人しくしてろ よしっ行くぞ」

「はいっ隊長」「ごめんなさいこれが任務なんで」

「くそ どいつもこいつもクズばっかりだ なぁお前おれは、もう死ぬ どうか どうかあいつらを守ってくれないか?ごめんなこんな仕事をおしつけちまってよ

さっきは、あんなことカッコよく言っちゃったけど自分の命も大切にするんだぞ」

「まって まってよおじさん まだ名前も教えてもらってないのにねぇ まってよ ねぇ」


ドンドン


「助けてください」

気付いたら寝ていたのか 誰の声だろうか

斉藤さんの机の上にあったデジタル時計を見ると2時45分を指していた

田中さんも起きていたようだった

田中さんは、走って研究室のドアを開けようとした

「外に出たら死ぬかもしれな」とぼくが言いかけたところで田中さんは、言った

「もしそうならこの人たちも死ぬかもしれないんだぞ救えるかもしれない命を自分のせいで失いたくない」

田中さんは、パネルを操作しながら言った

「はー はー はー はー」

そこには、おそらく家族であろう3人がいた

男性1人と女性1人 そしてぼくと同じくらいの女の子が1人 

「大丈夫ですか? おい たけし食糧庫に水があるとってきてくれ」

「わかりました」

「大丈夫です。助かりましたありがとうございます 車で逃げていたら道に迷ってしまってそろそろガソリンも切れそうでたまたま見つけた建物に入ってきたら人がいたので」(男性)

「そうですか それは、本当に運が良かったですね」

「はい、ほんとうにありがとうございます」(女性)

「ありがとうございます」(女の子)

「これ水です」

ぼくが水を差し出すと少し遠慮をしていたが、田中さんが促すと一礼をして水をのんだ

「今日は、もう遅いです ここは、研究所の研究室で密閉されているのであの地球のワクチンが入ってくることは、少ないと思います 安心して寝てください ベットは」

「ベッドは、大丈夫です」(女性)

「何から何まで親切にありがとうございます。 ぼくは、佐々木大輔っていいます。 そしてこちらが佐々木琴音、この子が佐々木紗良です」

「私は、田中蓮っていいます」

「ぼくは、佐藤武です」

「とりあえず今日は寝ましょう」「(正直早く寝たいです)」(田中)

「(まだ昼間じゃ? なんだか眠くなってきた。いいやもう寝よう)」(大輔)

「ほんとうにいろいろありがとうございます」(大輔)

「(良かった。助かった。でも、まだ昼間じゃ? なんだか眠くなってきた。いいやもう寝よう)」(大輔)

かなり音をたてたと思うが少し離れたベッドで寝てた3人ともっと離れたところで寝ていた井沢さん斉藤さん伊藤さんは、疲れたのかぐっすり寝ていた

近くにいる高橋さんも起きずに寝ていた 

おれは、本当に高橋さんのおかげで生きている。本当にありがとうそう心の底から思った


そして再び眠りについた


部屋に電気がついたみたいだ

何時だろう

外も見れないのか

「おはようございます」(山田)

「おはようございます」(たけし)

山田さんが電気をつけたようだ

ちょうど目に入った斉藤さんの机のデジタル時計は、7時33分を指していた

周りのみんなも起き始めたようだった

田中さんと佐々木さん家族は、昨日のことをみんなに話した。

佐々木さん家族は、再び自己紹介をした。

「ようこそ!」(井沢)

「いらっしゃい」(斉藤)

昨日は、あんなことを言っていた斉藤さんだったがとても歓迎していた

「みなさん本当にありがとうございます」(大輔)

大輔は、本当に謙虚な人だ そして田中さんもすごすぎるほど良い人柄だ

昨日「外に出たら死ぬかもしれない」とか言っていたぼくとは、比べ物にならないほどにだ

朝すぐに入ってきた情報は


絶望だった


「みなさん 落ち着いて聞いてください 本州は、ほぼ壊滅したそうです ここの電気も溜めてあった電気を今使っています 国によるとこれから緊急で地球のワクチンを枯らせる薬を作って本州全土に撒くそうです。」(山田)

「おい本州全土って何言ってんだよ そんなことできるわけない そもそも薬なんてそんなすぐにできると思ってるのかよ」(田中)

「薬は、人を完全に溶かせるものを撒くそうで、地球のワクチンは、寄生してる人が溶けて消えれば枯れることがもうわかってるそうです」(山田)

「それは、もちろん生存者の確認とかは、するだろうな?」(田中)

「生存確認をするのが危険でこれ以上の拡大を防ぐため行わないみたいです」(山田)

「ぼくらは、密閉されてるからこの中にいれば平気だけどそとにでればわかんないし、他にも生きてる人もいるかもしれないのに ふざけあがって ドローンとかでも確認できるじゃないか」(田中)

あぁ この世界は、もう狂ってしまったのだろうか

助けてください 




    神様  どうか


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