第5話 少女とへいへいへーい

 十メートル地点到達。

 

 さて、あれからどのくらい経ったかと言うと、三十分である。

 三十分で十メートルしか進んでいないのだ。

 いやマジで何してんの。

 正解は──

 飴玉を舐めまくっていました。

 いや、進めよ!

 とは言っても、寒さで足が動かなくなっている少女は一歩進むのに一苦労。しかも、着ている服と言えば、下がホットパンツに黒のタイツときたものだから余計だ。

 と、少女は何かを見つけた。

 それは、キツネだった。

 キツネは少女を見ていた。

 じーっと、じーっと

 少女もキツネを見ていた。

 じーっと、じーっと

 そして、


「へいへいへーい」


 

 キツネが「へいへいへーい」と鳴いたのだ。

 少女が「へいへいへーい」ではない。

 






















 おっと、理解不能なことが起きたのでフリーズしてしまっていたようだ。

 少女の意識が戻ってきたときには、もうそこにはキツネはいなかった。

 少女は思った。

 ──「へいへいへーい」って叫べば、キツネくるかな。

 そんなわけがない。

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