第3話 少女とみかん
寒いぃー!!!
少女はコートに身を包んだ身体をぶるっと震わせた。
少し小柄な身体にそのコートは少し大きかったのかどうかはわからないけれど、萌え袖がかわいい。
むっふー、と鼻から息を吐くと、ずん、ずん、ずんずんと雪の上──と言っていいのかわからない──を歩く──まあ、歩いているのだろう──。
肩に提げた黄色のポシェットを漁り、中から飴玉を取り出した。
この飴玉は百年以上前のもの──ではなく、最近自作したものである。
味はみかん。
家の中で育てたみかんを使用している。
そんなことが可能なのかと言えば普通不可能なのだが、彼女は伊達に千年を生きているわけではない。それくらいの技術は持ち合わせている。
──というのは、嘘である。
なんか、出来ちゃったのである。
みかん食べようと思って皮を剥いて、実を裂いたらでっけー種が真ん中にどーんと入っていて、食べる実が少なかったんだけれど、その種どうしようかなーと思った少女はひとりでにこちらに飛んできた種を掴み取りそぉーいと投げたら壁に埋まってあれこれ取れなくね?ってなってまあいいかと軽い気持ちでいたら次の日その壁一面に蔓がにょきにょきと這っていて、その次の日にはでーんとみかんの実が蔓に実っていた。
いや、完全にみかんではないだろうと思うだろうけれど、みかんである。見た目、味すべてみかんだ。まあ、異世界産みかんだと考えればおかしくはないだろう? ここではみかんとは言わないのかもしれない。
あら、何の話をしていたのかわからなくなったけれど・・・・・・さあ、みかんの話をしようじゃないか!
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